仁王と空き教室でぴよぴよ [ 2/2 ]

「仁王君、お誕生日おめでとう。
あの、これプレゼントもらってくれる?」

「悪いが受け取れん」

ハア…これで何回目じゃろうか

「どうして…?去年は受け取ってくれたのに」

「今年からはテニス部とアイツからしか受け取らんと決めたけぇ、諦めんしゃい」

断られた女は悲しそうな顔をしていたが食いもんならブンちゃんが食うからええじゃろ。

「仁王君ー」
「仁王先輩っ」


この女達はどこから湧いて来るんじゃ!

とりあえず断り続けてやっと下駄箱から進むことができた。
下駄箱に入っていたプレゼントはジャッカルの所に入れてやった。
優しいのぅ俺。

廊下を歩いていたらまた女共が集まってきたのでもう断るのも面倒くさくて走り出す。
追って来る女もいるがテニス部をなめるんじゃなか、すぐに巻いてやったぜよ。

「ハァ…」

仕方なか、1限目が始まるまで空き教室にでもいるかのう。


テキトーに携帯を弄っていると扉が開いた音がした。
本当にしつこい奴らじゃ。

「じゃから受け取らんと言っとるじゃろ!」

『えっ…』

半分怒り気味に言い振り向くと
ずっと会いたかった張本人が固まっていた。

「えっ、必ず勝てちゃん!?」

『遅いから女の子達から逃げてるのかなって思って来てみたんだけど…』

「す、すまんっ!必ず勝てちゃんとは思わんくて…」

こんな日に喧嘩なんてしたくなくて必死に謝る。
ペテン師が聞いて呆れるのう。
でもそれ位必ず勝てちゃんは大切なんじゃ。

『私もいきなり入ってきたのが悪いんだから謝らないでよ。
それに私、今すごく嬉しいの。』

えへへ、と可愛らしく笑う必ず勝てちゃん。
「何で?」と訊いても『ナイショ』としか言わん。


「必ず勝て」

いつもとは違う呼び方で呼ぶと必ず勝てちゃんはぴくっと反応した。
腕を掴んで引き寄せ耳元に唇を寄せる。

「必ず勝て、教えんしゃい」

吐息を少し含ませて耳元で囁く。
必ず勝てちゃんはこーゆーのに弱い。


『う…笑わない?』

「笑うわけなか。
ほら、言ってみんしゃい」

『あのね、今年は私以外の女の子からプレゼント貰わないって聞いて…嬉しかった』

顔を赤くしながら小さな声で呟いた必ず勝てちゃん。
ああもう何て可愛いんじゃ!

ぎゅううーっと抱き締めると背中に手を回してくれる。


「必ず勝てちゃんあったかいナリ。」

『雅治寒いの?』

「ここストーブついとらんけぇ、寒いぜよ…」

『丁度よかった。
はい、プレゼント!開けてみて?』

「ありがとの…ブランケット?」

ラッピングを解くとふわふわのブランケットだった。
フードも付いていてあったかそうじゃ。
ただ…

「何でひよこなんじゃ?」

『雅治いつもピヨピヨ言ってるから!
着てみて!』

羽織ってみるとあったかかった。
必ず勝てちゃんは椅子に上ってフードを被せてきた。


『雅治かわいい!
ねえねえ、ピヨっていって!』

「…ピヨ」

『かわいい!!!』

必ず勝てちゃんが嬉しそうに抱き着いてきた。
…ん?

「必ず勝てちゃんもお揃いなんか?」

必ず勝てちゃんはピンク色のひよこブランケットを着ていた。
因みに俺は典型的な黄色。

『そうだよー!
雅治の真似ーぴよぴよ!』

か、可愛すぎる!


「なぁ、ちゅーしてもよか?」

『…ぴよ』

「それは肯定と取るぜよ?」


ちゅ、ちゅ、ちゅっ

ひよこが啄ばむようなバードキスを繰り返す。
すると物足りないのか熱っぽい視線を向ける必ず勝てちゃん。

ああ、もう歯止めがきかんぜよ。

折角だけどブランケットを脱がせて机の上に置き、制服に手を忍ばせる。

『っ…まさ、はる』

「ええじゃろ?必ず勝て」

すると顔を真っ赤にしてこくんと頷く。

ああ、今日はなんていい日なんじゃ!朝から幸せぜyピンポンパンポーン♪

"仁王、朝から授業をサボるなんていい度胸じゃないか。
今日の部活、覚悟しておくといいよ。フフッ…" ブチッ

「ピ、ピヨォォー!!!!?」



Happy Birthday 仁王 雅治
2012.12.04






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