日吉の欲しいものを奪いとれ! [ 4/4 ]

「欲しいもの?決まってるじゃないですか。
S1の座ですよ」

私、氷のエンペラー、若の為に一肌脱ぎます!



『跡部!』

「ん?氷のか」

生徒会室の扉を開けると跡部が優雅に紅茶を飲んでいた。

「何だ?俺様に惚れたか?」

『まさか、私は若のものだから。

交渉しにきたのよ。
S1の座を若に渡しなさい!』

ビシィッと指差して言うと跡部は呆れたようにため息を吐いて紅茶を飲んだ。
その態度がムカつくのよ!

「俺様が一番強いんだから俺様がS1に決まっているだろう」

『第一今何月かわかってんの!?12月よ!?さっさと引退しなさいよ!』

「あーん?俺様が部長だ。」

『来年は若が部長なの!
アンタは受験勉強でもしてなさいよ!』

「何言ってんだお前…

来年も俺達は3年で若は2年だろ」

『そんなサザエさん方式認めない!!』

「サザエさん?
お前食い物にさん付けすんのか」

『キイィィィッ!これだから金持ちは!』

何を言っても通じないようだ。
でも若の誕生日にはやっぱり一番欲しいものをあげたい、
そう思うのは彼女として当然の事じゃないか。


「エンペラーさん」

『え…若…?』

声のする方へ振り向くと呆れたような、怒ったようなわかってんのがいた。

そしてツカツカと近寄ってきたとおもったら

『わっぷ』

腕を引かれ、若の胸に押し付けられた。
普段はこんなことしないのにどうしたんだろう…


『若』

「何ですか」

声低っ!

『な、何で怒ってるの…?』

ちらりと上を向いて尋ねると若は呆れたような表情をした後、私をまた胸元へ押し付けた。


「当たり前でしょう。
何故俺の誕生日なのに跡部さんの所に行くんですか。
貴女は俺の彼女でしょう」

『…もしかして、ヤキモチ?』

「だったら何なんですか。仕方ないでしょう」

嬉しくて顔を上げたいんだけど思い切り押し付けられて上げられない。

『若、手離しt「駄目です。」…何でよ』

「ククッ…若、お前顔真っ赤なの見られたくないんだろ」

「なっ、何言ってるんですか跡部さん!」

『えっ、若照れてるの!?』

「うるさいですよ」

パッと離された時にはもう何時もの若で少し残念。


『ごめんね若…私、どうしても一番欲しいものをあげたくて…』

「ああ、それで跡部さんの所に…」

若は真剣な表情で跡部を見据えた。

「跡部さん、俺は必ず貴方からS1の座を奪います。」

「フッ、お前はずっと2年なのにか?」

「貴方が卒業せずにずっとテニス部に在籍するというならこちらにとっても好都合です。
絶対に貴方に下剋上しますよ。」

「フン、せいぜい努力するんだな。
ただ、高みを望んでいるのはお前だけじゃないがな。」

跡部もおちょくっているようだがその目は真剣そのもので、でも少し嬉しそうに笑っていた。


「行きますよ、エンペラーさん」

そのまま若に腕を引かれて生徒会室から出て行った。…あっ、

『若、その、言いづらいんだけど、
プレゼント、用意してない…』

「ハァ、まったく貴女って人は」

『ごめんね…』

「…いいですよ。貴女がずっと俺の側に居てくれるなら」ボソッ

『え?何?聞こえなかった』
「ぬれせん買ってくれるならいいって言ったんです。」

『じゃあ特別に高級なの買いに行こっか!』

パッと手を離しタタッと駆け出す。


『若!』

「何ですか」

クルッと振り向くと若は何時も一緒に歩いているより少し早めに近付いてくる。

『ずっと側にいるからねっ!』

「なっ、聞いてたんですか!?」

足を止めた若の顔が段々赤くなっていく。

『あ、照れてる〜』

「見ないでください!!」

『だって跡部だけ見るなんて狡いもん。』

「…」

コツコツと若が足早に近付いてくる。
なんか笑っているような…


「じゃあ、一生側に居てくださいよ」

ーーーちゅっ

『っーーーー///』

「フッ、下剋上達成」



Happy Birthday 日吉 若
2012.12.05



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