5. [ 24/24 ]

試合は凄まじいものだった。
最初はほぼ互角に打ち合っていたのだが、途中からラブルスが本気になり謙也先輩が撃沈。笑い転げ戦闘不能に。
光は冷静に打ち合っていたものの、実質2対1では分が悪く、負けてしまった。
かくいう私も笑いすぎて涙目になっているが。

4人がベンチに座り、試合で流した汗と(笑いの)涙の水分を取り戻すためにスポーツドリンクを飲む。
ラブルスに面白かったですと伝え、光の元へ行くと悔しそうに苦い顔をしていた。
隣に座りジャージを肩にかける。

『お疲れ様。風邪ひいちゃうよ』

「...おん」

『ありがとね。先輩達にお願いしてくれたんでしょ?』

「...」

沈黙は肯定って事で。
まあ一氏先輩から聞いちゃったから肯定も何もないんだけど。

『すごく嬉しかった。
でも、光の方ばっか見てたからあんまり先輩方の方に集中できなかったなぁ』

そう言うと光はパッと顔を上げてこちら

見た。

『だって光、すっごくかっこよかったんだもん。サーブも、リターンも、スマッシュも、待球姿勢も、はしってる姿も、全部全部かっこよかった。』

我ながら恥ずかしいこと言っちゃったなぁ
…あれ?

『光?』

顔を見ようとするとぷいっと逸らされる。
あらら?これはもしや

『ねえねえ』

「何やねん」

『照れてる?』

「はあ?照れとらんし」

『でも耳赤いよ?』

「!」

隠そうとしてか、耳を抑えてバッとこちらを向いたがそれは墓穴を掘るだけで

『あ、顔も赤い』

「うっさいわ」

『わっ』

グイッと腕を引かれてそのまま光の胸に収まる。

『ちょ、ひ、ひかるっ』

「真っ赤やで?」

ニヤリと笑って私を見下す。
ジャージじゃなくて直に光の匂いが鼻孔をくすぐってドキドキするっ

『何でこんなっ…』

「仕返しや。
…って何見とるんすか」

光の目線を追うと目をキラキラさせて見ている小春先輩と一氏先輩、謙也先輩に、いつの間に来たのか白石先輩が。

『せ、先輩方!!』

「ええなー青春やなー」

「お、おまえら公衆の面前でなにしとんねん!」

「ウチもいつか素敵な人と…」

「こ、小春っ、俺ならここに「黙れ一氏」うう…」


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