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"オカマとホモが話しかけてきても無視するんやで"

そんなのこの人達くらいじゃないか。


『あ、あのっ』

「ん?」

『金色先輩と一氏先輩ですよね、』

「何や、知っとるんか」

『私…ファンなんです!』


そう。この学校に来て、やはり1番気になるのはお笑いである。
転校してすぐ、華月に行ったのだが、正直つまらなかった。
本場のお笑いが見れると期待していたのに、そう思って帰ろうとした時、会場が一気に騒がしくなり、ステージを見るとこの2人が立っていた。
この2人が最後らしいく、折角だから見ていこうと思い、その場に留まった。
2人の漫才は、他とは比べられない位面白くて、私は2人のファンになったのだ。

「あらっ、こんな可愛い子がファンだなんて嬉しいわぁ〜」

金色先輩は私の隣に座るとニヤーっと笑って私を見つめた。

『えっと、金色先輩…?』

「いややわぁ、小春ちゃんって呼んでーや」

『こ、小春、先輩』

「んー、まあええわ、ぜんざいちゃんが呼びやすいなら」

えっ、今私の名前…

『私のこと知ってるんですか!?』

「当たり前田のクラッカーやろ!俺の小春は全校生徒の名前を覚えとるんやで!」

そんな"俺の"を強調しなくても取ったりなんてしないのに…
それにしても、ぜ、全校生徒…確か小春先輩って主席なんだっけ…すごいなあ

「それだけやないんけどね。最近蔵リンや謙也くんがぜんざいちゃんの話ばっかしてるから気になって調べたのよ〜
だから私は蔵リンか謙也くんのどっちかの彼女やと思ってたんやけど、光きゅんだったとはね〜」

小春先輩が指差す方を見ると、ボロボロめ今にも泣き出しそうな謙也先輩と、それを見下している光がいた。
光は私達に気付くと不機嫌そうにこちらに向かってきた。

「何しとんねん。無視しろゆーたやんか」

『こ、ごめん…でも私先輩達のファンなんだもん!』

「…まじか」

少し驚いたような顔をすると、光は小春先輩を(突き落として)どかし、私の隣に座る。

「んもうっ、痛いわねー」

「小春大丈夫か!?光何しとんねんゴルァ!」

小春先輩を見事にキャッチした一氏先輩が光を睨んでいるが光は完全無視。

「オカマとはいえ男なんやから少しは離れや」

「あらん?光きゅんてばヤキモチ〜?」
「先輩らうっといんでどっか行っt『へっぷし』…ぜんざい?」

砂埃が風に吹かれて鼻を掠めたのか、くしゃみをしてしまった。せめてくちゅん、みたいな可愛らしいくしゃみをしたかった…光も言葉を止めてこっち見てるし…

『ごめ、大丈夫だから続けて…え?』

ふわりと肩と背中に少しだけ温かいぬくもりを感じる…ジャージだ。

「寒いんやろ?羽織っとき。」

『ひかる…』

ごめん、別に寒いわけじゃないんだけど…
でも嬉しいからそういうことにしちゃってもいいかな、なんて。
そっと腕を通すと、さっきまで試合(?)してたのにあまり熱を含んでいなくて、
そういえばあの時抱きしめられてもあまり暖かくなかったなぁ…なんて思い出し、恥ずかしくなる。

『光、ありがと』

「風引かれたら困るだけや…って何見とんすか先輩ら」


ぷいっと光が視線を逸らした先にはニヤニヤしてる小春先輩と一氏先輩が。

「光もこんな立派になって…オトンは嬉しいで!」

「私もやわ〜いつの間に一人前になったんやろ…今夜は炒飯やな」

「なんでやねん!それを言うならせ・き・は・んー」

「…先輩ら、つまんないっすわ。ほらぜんざいも固まっt『あっはははは!』ホンマかいな…」

こんな所にまで笑を入れてくるなんて…流石です先輩方!
半分笑いながらそう伝えると、嬉しいわぁ〜と小春先輩が微笑み、一氏先輩もやったでぇー小春ぅーと喜んで(?)くれた。


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