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奇跡って起こるものなんだね。
「小テストはじめるぞー」
世界史の時間、前からテスト用紙が回ってくる。
授業はあまり真面目に受けてないけど、オタク知識フル活用してカッコの中に文字を埋めていく。
小テストだし、あまり難しい問題はなさそうだ。
これは満点の自信アリ
「はいそこまでー、隣同士で丸つけしろー」
いつもは人一人分くらい空いている机同士をくっつけると光の存在を近くに感じて心拍数上昇なう。
でも何も話さないのは不自然だよね…何か話さなきゃ…
『光って世界史得意なの?全部当たってる』
「んーまあな。(オタク知識フル活用しただけやけどな)
ぜんざいは………おい、コレ」
光が指を指した所を見ると
ロミオと(シンデレラ)
や っ て し ま っ た
ついいつもの癖で書いてしまったぁぁぁ
オタクってバレた?
この曲は割とパンピも知ってる人多いし…
引かれたらどうしよう
「自分、ボカロ好きなん?」
『う…うん』
せっかく仲良くなれたのに…
「俺も」
『へ?』
「俺もボカロ好きやねん。」
『ええっ!?
光もボカロ好きなの!?』
「おん。俺実はオタクやねん。」
『わ、私も!
ボカロめっちゃ聴くし、アニメ観るし』
「ホンマ?あー、
"ぜんざいP"って知っとる?」
『!』
まさかの光の口からぜんざいPの名前が出てきた。
これはどう返すべきだろうか
『知ってるよ〜私すごく好きなんだ』
私=ぴんくということは伏せて正直に言った
「…それ俺やねん」
小さめの声で光がボソッと呟いた。
…え?
『ええっ!?』
本当に奇跡が起きた…
光=ぜんざいPだったなんて…本当にイケメンだし。
じゃあ私が光もぜんざいPも好きなのは間違ってないってこと…?
『光がぜんざいPだったんだ!すごいね!さ、サインとか貰っとこうかなw』
「おおきに。自分はなんかやっとるん?」
『…何もやってないんだぁ〜』
「ふーん」
嘘を吐いてしまった。
私は喜びと同時に怖かったのかもしれない。
ぜんざいPに私がぴんくだとバレることが。
ネット上ではぴんくとぜんざいPは夫婦だが私と光はそんなんじゃないし、
ぴんくがこんな奴だったなんて知られたくない。
私は逃げた。
*****
その夜、ぜんざいPが新曲を発表していた。
ぜんざいPにしては珍しい、苦しい片思いのバラード系ラブソングだった。
コメントには嫁への曲という文字が沢山流れていたが、
以前ぜんざいPが私に曲を捧げてくれた時はもっとアップテンポでポジティブなぜんざいPらしい曲だったし、うpする前に聴かせてくれた。
じゃあぜんざいPは誰を想い誰の為にこの曲を作ったのだろうか。
『…寝よう。』
もしかしたらーーいや、考えるのは辞めよう。
変に期待して落ち込みたくない。
私はいつからこんなに弱くなってしまったんだろう
恋は人を変えるとはよく言ったものだ。
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