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振り向くと財前が面倒そうな顔で立っていた。


「おお財前、今な、この子にお前のこと聞いとんねん」

「…何で部長がコイツ知っとんすか」

「謙也」

「謙也さん殺す」

『だっだめだよ財前!
殺すならこの中二先輩にして!!』

「ちょ、変なあだ名やめえや」

「似合うてますよ中二先輩()」

「財前!!?」


あーもうカオスになってきた。本当に帰りたい。


「てかしらたまキャラ変わっとらん?」

『あー…私イケメン苦手なの』

性格には三次元の、だけどね。
二次元イケメンは大好物です。

「な、なんやて…
イケメンが仇になる時が来るなんて…イケメンも辛いんやな」

ガクッと膝をつく白石先輩。
イケメンて自分で言ったよこの人…やっぱナルシか。


「じゃあ謙也さんは?あの人もイケメンやろ」

『うーん…イケメンてよりも犬ってカンジだからかな』

「犬?」

『うん。人懐こいし、フリスビーとか投げたら取ってきそう』

むしろフリスビーより速いだろうな…

「ええな、それ。今度謙也にやらせてみよか」

うわっ復活早っ


「そんで?」

『え?』

「財前は?」

なぜか白石先輩がニヤニヤしてる。


『財前は…最初怖いイメージしかなかったからな…』

怖い>イケメン


『でも…よく見るとかっこいいよね』

顔を覗き込む。
うん。やっぱり綺麗な顔してる


「み、見んなや」

ぷいっと顔を逸らされた

「財前照れとるぅ〜」

「部長るさいっすわ」

「しらたまさん、うちの財前と仲良うしてくれておおきに。
これからもよろしゅうしたってや」

『は、はあ…』

「部長キモいさっさと部活行ってください」

「じゃあ俺は先行っとるわ。財前サボるんやないで!ほなな、しらたまさん」

『あ、はい』


白石先輩は爽やかオーラを振り撒いて行ってしまった。
女子がキャーキャーうるさい。


『白石先輩てお母さんみたいだね』

「部員は皆息子とか言っとるしな。」

『うわ…た、楽しそうだね。財前が嬉しそうなのも納得だわ』

「だから嬉しくなんかないっちゅーねん」

『えー』

「んじゃ俺も部活行くわ。ほなな」

『うん。また明日ね』


私も早く帰って生放送しなきゃ
ぜんざいに今日のこと聞いてもらおうかな
あ、でも妬くからやーめよ



「謙也さん…」

「何やざいぜ…ギャ―――――」

「無駄のない制裁、エクスタシー」


イヤフォンから流れるぜんざいPの曲の間奏中、
そんな声が聞こえた気がした。




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