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『え…男…?』


彼女ではなく、あの浪速のスピードスターこと忍足謙也先輩でした。



「やから言うたやろ」

「え、何のことや?」

忍足先輩は頭に?を浮かべ財前に尋ねた。


「コイツ、俺が昼休みに屋上で彼女と飯喰っとる思っとったらしいんすわ。」

「…プッ
すまんなぁ財前、全員男で」

『全員…?』

「せやねん。俺らはテニス部のレギュラー皆で昼飯喰っとんねん。親睦を深める、っちゅー名目でな。」

『そうなんですか…
財前、先輩達が好きなんだね』

「ハァ!?」


思ったことをそのまま口にすると
財前は嫌そうな顔をし、
忍足先輩は目をぱちくりさせている。


「な、何でそう思うん?」

『え、だって財前お昼休みになると嬉しそうな顔で屋上行くんですよ』


そう言うと忍足先輩は段々ニヤニヤし始め、財前の頭を撫で始めた。

「そっかそっか〜財前は俺らが大好きなんか〜」

「ちゃいます。触らんといてください。
オイしらたま何言っとんねん」


財前は忍足先輩の手を振り払い私を睨んだ。

睨んではいるんだけど…


「俺も財前のそんな顔見たいわ〜」

「謙也さんキモい」

『あ、その顔』

「「は?」」
『ほら、財前嬉しそうな顔してる』


指摘すると忍足先輩は財前の顔を覗き込んだあと私の方を見て

「え、どこが?」

と苦笑した。


『嬉しそうじゃないですか』

「何言っとん、んなワケないやろ」

『え、財前自分でもわからないの?
もしかして無意識?』


首を傾げていると、忍足先輩に手を握られた。え?

「自分すごいなぁ!財前とこれからも仲良くしたってや。
えっと、しらたまさん?」

『あ、しらたまぜんざいです』

「俺の名前知っとる?」

『当たり前ですよ。
浪速のスピードスターこと忍足謙也先輩ですよね』

「おん!よろしゅうn「ほら、はよ屋上行きますよ」何や財前、仲間外れにされて寂しいんか(ニヤニヤ」

「謙也さんマジキモい」

「嬉しいクセに〜ほな行こか。
またな、ぜんざいちゃん」

『あ、はい』



忍足先輩が歩き始めると財前が私の方を向いた。


「何余計なこと言っとんねん」

『あはは〜ごめんごめん』

「お前覚えとけや、
さっきの時間腹鳴ってたん言いふらすで」

『なっ、何で知ってんの!?寝てたんじゃ…』

「寝てたけどお前の腹の音が煩くて起きたわ」


それだけ言うと忍足先輩の元へ行ってしまった。



「ただいまぜんざい〜チョコチップメロンパン買えたで〜
って、なんで顔赤いん?」

『く、紅亜ぁ〜』

私はどんよりしながら紅亜に愚痴を溢したが
流石大阪人、笑っただけだった。



『紅亜のばかーもう知らないっ』

「まあまあ、ホラ、メロンパン一口食べる?」

『!!…食べるっ』

「単じゅ…かわええなぁ」

『もふ?』

「よしよし、もっと食べ」





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