5.きみがとなりにいる

明日暇か? なんてLINEが来たのはその日の夜。にやける顔を抑えながら返事を返す。もちろん答えはYes。明日も会えるのか、身も心もウキウキで何を着てこうなんてまるで恋する乙女みたいで恥ずかしい。いや、恋する乙女か、うん。



翌日、約束の時間よりもかなり早く集合場所に着いてしまった。張り切りすぎかな、大丈夫かな?

「よう、待ったッショ?」
「あ、巻島くん! おはよう、全然待ってないよ、今来たところ」

ほんとはもっと早くに来てましたなんては言えないよね。んじゃ行くかという言葉と共に巻島くんはある場所に歩き出す。手くらい繋ぎたいなぁなんてわがままかな? じっと彼の手を見つめると彼が振り返る。

「手、繋ぐか…?」

恐る恐ると言った感じで声をかける彼。うんと頷くと彼の手が差し出される。あぁ、幸せだなぁ。

巻島くんがすぐ傍にいる。同じ時間を同じ場所で過ごしている。どうしよう、にやけてないかな!?

「なんか楽しそうだな」
「えっ、えへへ」

巻島くんがいるからだよと口にすると、彼は照れてちょっとだけ足が早くなった。でも手は離そうとしない。あーもう可愛いなぁ。

いくらか歩くと水族館に着いた。暑いの嫌だろって涼しいところを彼なりに選んでくれたらしい。大きな水槽は、まるで水中にいるかのように神秘的で綺麗だった。

「お魚綺麗だね」
「あぁ…」

笑いかけると彼も軽く笑う。どうも口下手な私たちにはこれくらいが丁度いいのかもしれない。

握られた手を強く握り返すと指が深く絡まる。
そんなことも幸せに感じてしまう、恋する乙女は単純だ。


(きみがとなりにいる)




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