5.泣くなよ

ニコニコと笑う彼とは反対にボロボロと涙を流す私。嬉しいようで恥ずかしくてとても照れくさいこの空間。

「もしかしたらこれからもいっぱい泣かせるかもしんないしさ、なんか申し訳ないけどその、大切にするから」
「うん…好きぃ…」
「なにそれすごい可愛いんだけど」

「なまえ」

ふいに名前を呼ばれ顔を上げると、目尻に触れるだけの口付け。唇が離れると彼の手がそっと目に溜まる雫を拭ってくれた。

「泣くなよ」

真剣な眼差しから一転、柔らかい顔の彼が頬に触れる。

「泣いてる顔も可愛いけど俺は笑ってる顔の方が好きだからさ」

彼の手に手を重ねると、彼はまた優しく笑う。少しずつ彼の顔が近づき、私は恥ずかしさで目を閉じる。


唇に感じる小さな熱。


「今度から泣いてたらこうやって止めるからな?」

覚悟しろよ、と言いたげな彼の瞳に心を奪われてしまった私。

「はいっ」

好きです、手嶋くん。
これからも貴方の傍にいさせてください。


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