4.待ってろ


「俺と付き合って、って言いたいとこなんだけどさ」

彼の言葉が止まる。すんなりゴールなんてさせてはくれないんだなぁ。なんだよ神様!なんて思いながら続きを待つ。

「俺、部長になるんだよ、自転車競技部の」
「うん」
「今年のインハイ俺出てないのにさ」

あ、そうなんだ…。

「1年にさ、魅せられたっていうかさ。」
「うん…」
「俺は凡人だから人一倍練習しないとなんだ。だから自分勝手で悪いけど、自転車優先するしインハイまで練習ばっかでデートらしいデートも出来ねえし、ほんとにこんな俺でいいのかって、今更不安になってさ。情けないな」

苦笑して遠くを見つめる彼の手をぎゅっと握る。

「私はっ!毎日のように手嶋くんが自転車のこと考えてるの見てた、よ。自転車の事は詳しくないし我慢できるかって言われて、はいできますってすぐに断言出来るか私自信ないけど。でも、でも貴方が待てって言うんなら、待ちます。待たせてください」

不安でぐちゃぐちゃになってるのは私の方だと思う。恋愛なんてこれまであんまり経験しているわけではないから、うまく分からないけど。でも、待つから。
じっと彼を見つめると思いきり笑われた。

「面白いなみょうじって」

握っていた手を更に握られ彼の口元へ。触れるだけの口付けがされ、私の顔が真っ赤に染まる。

「待っててくれるか?お姫様」
「はいっ喜んで」


| #novel_menu# |
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -