2.好きだ

彼はずるい。普段は名字で呼ぶくせに、なんで今日は名前で呼ぶんだ。頬が熱く真っ赤に染められていくのが見なくても分かってしまう。

「わざわざ呼び出してすまないな。来てくれてありがとよ」

彼の隣に腰掛けると、さっきまで余裕そうな表情をしていた彼が口を開く。そんなことを言われるとなんだかこっちまで緊張するんだけど…。

「その、言っておきたいことがあってさ」

恐る恐る彼を見ると彼もこちらを見つめていた。彼の頬もいつもより赤く染まって見える。夕日のせい、ではないだろう。

「好きだ、みょうじ」

いつにも増して彼の瞳が力強く、魅入られてしまいそうになりながら私の中で彼の言葉が溶かされていく。

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