「なまえ起きろ、朝だぞ」
ギシリと音の鳴るベッドで大きく肩を揺さぶられる。寝ぼけ眼で彼を見ると彼はもう既に身支度を済ませていた。
「今日は何限からだ?」
「3限からだよ」
だからもうちょっと寝る〜と言って私は布団をかぶる。健康に良くないぞ!と彼は布団を奪い取る。もう、君が夜遅くまでするから疲れてるんだよ。なんてことは言わず、ふくれっ面で彼を見つめる。彼は私のこの顔に弱いらしく素早く視線を逸らしてしまった。
「尽八くん」
名前を呼ぶとちゃんとこっちを見てくれる。
「いってらっしゃい」
触れるだけのキスを彼に送る。いつまでたっても初心な彼は頬を赤らめてしまう。そんな所が可愛いね。行ってきます、と私の頭を軽く撫でる彼を見送って、私はもう一度布団にくるまる。彼の匂いと温もりがまだ残っているその布団に。
(甘い刹那をもう一度だけ)
(もっかいキスしたかったなぁ)
(帰ってきたらまたしよーっと)