―――あれから、あの悪夢の始まりが告げられたあの日から、既に3年近くが経とうとしていた。
高3になった俺は前生徒会長のお眼鏡にかなった様で、彼からの推薦で生徒会長に選ばれた。正直嬉しくねぇ。
だがまぁ生徒会入りも2週間程経てば徐々に慣れてきて、仕事もスムーズにこなせる様になっていた。周りの役員が優秀だったという事もあって、だけどな。


そして、今。生徒会室。
他の役員はとうの昔に上がっていて、ここに居るのは俺と、そして何故か役員でも何でもない、良平だけだった。

あれから3年。
俺は、こいつに。この、糞野郎に―――犯され続けている。




「んぁっ、ゃ…ッぁ、ぅあぁ!あっ」
「生徒会室って良いよなあ、このシチュエーション…お前なら会長になってくれるって信じてたぜ、慎哉。自分の机に押し付けられて犯される気分はどうだ?」
「はっ、ぁ…さ、いぁく、だッ…っひ、やぁあぁ!あッ、…も…や、めろ、やっ」

痛い。掴まれている腰が。後信じたく無いが、突っ込まれている穴が。
目の前にあるのは、自身の机。それにしがみつきながら後ろから奴に揺さぶられている俺は、端から見たら相当な間抜けに違いない。打ち付けられる度に喉から飛び出る嬌声が耳に届く、それに堪らなく死にたくなる。
あぁ本当、何をしてるんだ俺。と言うよりこの変態。


「ん、考え事か?余裕だなあ、慎哉」
「っひ!ぁ、あぁッやぁぁぅ!」
「良い声、可愛い」


ぐりぐりと奥を擦る様に突かれて頭が真っ白になる、やべぇイったのか俺。分からない。
ただ奴が満足そうに呟いた声と、背中に唇を落としてきたのだけは確認出来た。死ねば良い、本当に。死んじまえ!

「トップが犯されるってのが萌えるよなあ、慎哉?あぁ会長様って呼ぼうか、今は?」
「ぁ、!…〜ッし、るか…!ッふ、」
「良いねえ、やっぱ俺の理想だぜお前は。あ、でも勘違いするなよ?お前は萌え対象だが恋愛対象でもあるんだ、ちゃあんと愛してるからな」
「ンん…ッは、……ァ…ンなもん、いら、ね…ッ」

煩い煩い。
そんな言葉は聞きたくない。
俺が求めているのは平穏な暮らし、それと立っても痛まない腰とケツだ。それだけなんだ。親衛隊が幾らキャアキャアと騒いでも構わない、不良クラスが幾ら窓ガラスを割ろうと構わない。ただ俺の、俺の身体が無事なら良い。何故この馬鹿はそれが分からないのか、俺には理解出来ない。

前を急に乱暴に触られて、また短く声が飛び出る。ぐりぐりと尿道付近を擦られるだけで、目の前が何度か弾ける感じがした。
「……ッ、ふ…っ」
声を押さえるのに自身の腕に必死で噛み付く。
畜生いてぇ、また傷が増えるじゃねぇか。泣きたい。泣かねぇけど。つーか既に泣いてる気がするけれども。

と、その時。
背後で何が面白いのか常に楽しげな雰囲気を出していた良平が、何かに気が付いた様にん?と呟いた。次いで俺の腰を引き寄せていた右手が不意に離れ、俺の顔の横に置いてあった書類に伸びていく。部外者が勝手に見るんじゃねぇ、確かあれは今朝理事長から回ってきた書類だった、筈。
中身は――……


「…転校生が来るのか?慎哉」
「ッ…ん、…ぁ、っお前、には…かんけー…ねぇっ、だろ!」
「いやいや、大有りなんだなこれが。フーン、遂に来たか王道転校生ってヤツ。さてどんなタイプなのか…おお毛むくじゃらに眼鏡、完璧だなあ」
「ん、んッ……ふぁ、」


何を言っているのか分からない。毛むくじゃらに眼鏡の何が完璧なんだ、俺はその顔写真を見て何の一発芸だと思ったのに。まさかお前本当はそういうのがタイプだったのか。なら最高だ、そっちに行ってくれ。そして俺を解放してくれ。切実に。

霞む視界の中で不意に耳を甘噛みされて、腰が跳ねた。噛み付いていた腕からそっと歯を外され、「血出てるじゃねえか」と困った様な笑い声が聞こえる。煩い、誰のせいだ。お前のせいだろう。


「なあ慎哉。明日の昼は食堂に行ってみろよ」
「っは、ぁ…?な、んで…ァッ!」
「王道展開ってのをまあ、一回拝んでみたくてな。皆連れてけよ?一人で出歩いたら犯されちまうからな、お前」
「ば、か言ってンじゃ…はッ、ぁ…っふ!んぁ、あ、あっ…!」
「イくか?イっていいぜ、慎哉…声聞かせて、な」
「ンッ、や…やぁッ、――ッあ!!」


耳を打つ、低い声。
注がれた言葉にぞわぞわとした感覚が背中を走った。びくりと引いた腰を掴まれて、思いっきり最奥を突かれた瞬間―――目の前が、真っ白になる。

襲い掛かる快感、次いで身体の力が抜けきる脱力感。
意識が飛ぶ寸前奴の楽しそうな声が聞こえた様な気がしたが、腹が立ったので俺は、それを無理やり無視した。




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