「あれー鬼嶋クン?会長いないのに〜。」

その日、会長である恭夜に頼まれた資料を取りに行き帰ってきた篠山が生徒会室に入ってすぐに見つけたのは恭夜でもなく、翼でもなく、その他のどの役員(とか手伝ってくれる子たち)でもなく、風紀委員の鬼嶋遥だった。

いつもいつでも鬼嶋が生徒会室にいる=恭夜と一緒というわけではないのだが、篠山の残念なのかそうでないのかよくわからない頭ではすっかりそう認識されているようで、鬼嶋を見るなり冒頭のセリフを吐いた。

「・・・・出かけた。」

そして、言われた方の鬼嶋はと言えば特にその発言について言及することはなく、ただ一言恭夜がいない理由を実に簡潔に告げる。

「え〜。取りに行けって言ったくせに〜。」

鬼嶋からの伝言を聞き不満そうな表情でそう呟いた篠山はただでさえしゃきっとしない歩き方をさらにダラダラさせながら普段恭夜が使っている机に資料を置き、少し考えた末に鬼嶋の向かいにあるソファに腰を下ろした。

ちなみにもうすぐで夢の世界へと旅立とうとしていた鬼嶋は篠山に起こされたことで些か不満そうにしているが、篠山がそっちに気づくことはないらしい。

と、それぞれ違う不満を抱きながらソファの上でだらけていると徐々に鬼嶋が眠気を取り戻してきた。

向かい側でうとうととし始める鬼嶋に篠山はこう考えた。

鬼嶋が寝る→自分が暇になる→それは困る→じゃあ起こそう

端から大人しく仕事をやっておこうという考えなどないらしい篠山は恭夜でさえ首をかしげるタンバリンをどこからか取り出した。

どこから取り出したのかは企業秘密だ。
深い突っ込みはいらない。

そしてやたら見事に磨きあげられているタンバリンを満足げに見た篠山は健やかな寝息を立てはじめている鬼嶋にそっと近づきまさに怖いもの知らずな勢いでタンバリンを盛大に鳴らした。

その後の彼の行方を知る者はいなかった・・・・・・・

「っていう夢を見たんだ〜。どう思う?鬼嶋クン。」

「・・・・・・・・・」






end.



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