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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ お菓子がなければ作ればいいじゃない

町の中央の広場にあるベンチに1人分の距離を置いて2人は座った。まだ人通りが多くはないとはいえ、見かけないしかも目立つ姿をした男の姿に視線が集まる。しかしクラッカーはそのような事を気にすることも無く足を組んで天を仰いだ。

「あそこで最後か」
「………はい…」

クラッカーが茶請けを食べしまった為、またあそこまで酷評されたものを尚店に出す事が出来なかった為、クラッカーとタッセは町の商店街に来ていた。

しかし小さな島の小さな町、お菓子の専門店と言えば昔ワノ国で修行したという店主の営むワ菓子ぐらいで洋菓子店はなく、片っ端から菓子を一つでも扱う店を虱潰しに歩いた結果がこれである。クラッカーの中で及第点にもならないものしかなかった。

「この島の海域は潮の流れの関係で航海が滞りがちですから、おやつと言えば各の手作りか果物なんです」

タッセは言い訳をする子供のように足元を見ながら言った。昨日今日でクラッカーがお菓子について並々ならぬ情熱を抱いていることは十二分に分かったが、それに応えることはタッセにもこの島のどの店にも出来ないので居た堪れない。

「…手作りか」

ぽつり、と聞こえるか聞こえないか微妙な、それこそ独り言だった。しかしこれが妙案に思えたきた。否、これこそが最善である。そう、クラッカーはビスケット大臣なのだ。組んでいた足を戻して腰を上げる。

「パン屋で小麦粉の銘柄を聞いて、あと問屋と…雑貨屋か…?調理器具も揃える必要がある」
「え…?あの、どういう…」
「まともなお菓子が無いならおれが作る。それが一番早い」

確かこの広場からだと1番近いのは雑貨屋だったな、と思い出しながらクラッカーはスタスタと歩き始める。

「待ってください!あと、調理器具ならうちにあります!」

クラッカーが歩調を緩めないおかげでタッセは小走りだ。

「どうせ貴様の事だ。基本的な道具も足りないだろう。金は後で余る程くれてやるから黙って揃えるぞ」
「本当に1式揃ってますから!オーナ、先代の店主は自分で茶菓子を作ってたのでそれが1通り残ってます!」
「………そこまで言うなら見てから買い足すべきか決めることにしてやる。」

行き先を変えるためにクラッカーが立ち止まったり、タッセはやっと追いつくことが出来た。



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