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▼ 一般人はそんな服着てません

「しらおれーしらおれいるー…?いたらドア開けてー……」
「はぁーい!……って何!?誰ですかそれぇぇえ!!??」
「声が大きい。一番大きなタオル何枚か持ってきて」

タッセは自宅ではなく、自身が営む店の入口の戸を叩き、従業員に助けを求めた。自宅と店は隣なので大した距離ではないといえば無い。だが、男を拾った浜辺からは店のほうが近かった為にこちらに運んだのである。ちなみに本日は休店日なので客の姿はない。

それでも散歩に出ていた店主が見知らぬ男を背負って帰ってきたのを見た従業員からしたら混乱しかないのだが。

「だ!だって…!明らかに普通の人じゃないですか「お願い…はやく…」
「は、はい!!!」

目的地に到着し、いよいよ気の抜けたタッセが潰れそうになった。それを見てしらおれは急いで奥からタオルを取りに行く。

しらおれの持ってきたタオルをソファに敷き、タッセはやっと重みから開放された。

男をソファに寝かせ改めて男の事をまじまじと見てみると、なるほどしらおれが警戒するのも尤もな姿をしていた。
筋肉質な身体、整った顔の右目には大きな傷、海賊かもしくは賞金稼ぎぐらいしかしないであろう奇抜な服装。今は置いてきたが人1人分の長さはある大きな剣…

「…まぁ…大丈夫じゃない?理由なく暴力を振るうような人ではないでしょ」
「ええっと…それって…」
「うん、勘」
「タッセさんの勘がよく当たるのは知ってますけど…!!」

さほど大きくもない店内からは、しらおれの嘆きの声と男の呼吸音だけがするのみであった。



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