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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 恋はいつでもハリケーン


時は数日遡り、万国、ホールケーキアイランド。

「クラッカー様!今回はご災難で…!!」
「クラッカー兄さん!怪我はない?」
「クラッカー様!長旅お疲れ様でしょう」
「クラッカー様!ご無事で何よりです!」
「クラッカー!お前海に落ちたそうだな!」
「クラッカー様!心配しておりました…!!」

国民達が船を降りたクラッカーを迎える。航路の都合とはいえ3週間近くも予定外に国を離れていたのだ。その身を案じる声は多い。一部からかっているのがわかる兄弟の声も聞こえるが、今はそれは聞き流して城へと足を進める。一刻も早くママへ帰還の報告と、確かめたい事がある。

しかし城についてれば、ママは別件で会談中。しばらく暇を持て余す事になった。

「…帰ってきたか」
「…!クラッカー、帰ってきてたのか!ペロリン♪」
「帰って来たか」
「ペロス兄!カタクリの兄貴!ああ、丁度今帰った!」

偶然にも鉢合わせしたのは長男ペロスペローと次男カタクリだった。そして彼らもママに会えず時間を持て余しているらしい。

ペロスペローとカタクリ。この2人の共通点が頭に浮かんだ。こうやってゆっくり話せる機会もないし丁度いい。

「ちょっと聞かせてくれ…ペロス兄とカタクリの兄貴は確か、ママの決めた結婚じゃ無かったよな?」

突然の恋バナ…のようなものに話を振られた側は顔を見合わせる。ただしシャーロット家に於いての結婚はいずれ強制されるものなので、弟に事前情報を分けてもいいかという思考に至る。

「そうだな」
「私の場合は少し特殊だが、そうとも言えるな。ペロリン♪」

妻から嫁に来たいとママに交渉したらしくてなぁ。まぁ半強制には違いねぇけど一応当人同士のの意思扱いだな。とペロスペローは涼しい顔で付け加える。…政略結婚ばかりの兄弟を見てきた中で、高々先方に外堀を埋められた程度では何も思わないらしい。

クラッカーは義姉の顔を思い浮かべて『義姉さんならするな』と納得しか出来なかった。そして思考を切り替えて次兄に向き直る。それを察したように兄は話し始めた。

「…おれも政略結婚には変わりない。だがママが相手を決める前に、自分から結婚したい相手をママに伝えた。相応に力のある家だったから元々候補には上がっていた。」
「〜〜〜〜〜〜〜それだ!!!!」

それまで黙って聞いていたクラッカーが大声を上げる。これには兄2人も目を丸くした。眼下の弟はひとりで思考の海に沈んでしまっている。そして一言礼を言うと戎兵を引き連れて何処かに行ってしまった。

「忙しない弟だなカタクリ、ペロリン♪?」
「…ああ」



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