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▼ ならせめて誠意を見せろと彼は笑う

「サプライズも構わんが、それにしてはあまりにこまやかではないか?」

プレゼントのケーキスタンドを活かす為に直前に渡す。その意図は分かったし、恐らく他の兄妹の誕生日を横目で見て、スイーツが多い事を察して重ならないように考えたのだろう。それでも朝から(昨夜から)忘れ去られているのではとやきもきしていたクラッカーは不平を漏らす。それでも大分機嫌が良くなっているのは言うまでもない。

「うーん、やっぱりそうですよねー…」

久方ぶりにシルバーチップの缶を開けながらタッセは苦笑いを浮かべた。

「どうにもパーティとかお祝いとかサプライズとかってするのは苦手みたいです。色々考えては見たんですけどこれで精一杯でした」
「お前な…本人の前でそれを言うか…?」
「言いますよ?これから何回も一緒に過ごしたいですから」

苦笑いを伝染されてからの、真顔になってしまった。キッチンスペースでカップを温める後ろ姿から見える耳は心做しか赤い。

「当然の事を今更言うな」
「という事で来年からはあまり期待しないで下さいね」
「別に今年もさほど期待はしていなかったがな?却下だな、精々努めろ」
「…私はいつでもクラッカーさんと一緒にお茶が出来るのが嬉しいですし、一緒にいれるのが幸せなんですけどね?」

タッセは好意を距離感や空気感で示す。明確な線引きをされたそれではあるが正直分かりづらい物だ。だからクラッカーは少し物足りない。

「…伝わらん、もっとわかりやすく示せ」
「…今日みたいのが精一杯ですよ…?」
「それでもだ。お前はもっと顔と言葉で示せ。来年からの今日はずっと隣にいろ」
「ずっとは…他にもお祝いして下さる方に失礼では…?」
「何がだ、お前はおれの隣にいる事を許されている立場だろう」

クラッカーが笑うとタッセの顔が紅茶よりも鮮やかな赤に染まる。それが愉快でクラッカーはまた笑った。



happy Birthday Cracker !! 28 February 2018



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