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▼ 零さぬように気をつけて

止めた。

ここでタッセを食らってしまえば、これからのおやつの時間は無言の時間になってしまう。賑やかで、至福の時間で然るべきのおやつの時間が。それでは甘美な液体は掬えぬどころかもう触れも出来ない幻になってしまう。

「おれの気まぐれに感謝するのだな」

小さく呟く声は夢の中の彼女には届かない。タッセは行儀よく眠り続けている。見聞色持ちの癖に何故ここで活かさないのか。クラッカーは屈んでいた上体を起こして部屋を出る。海賊であるクラッカーに我慢を強いるだなんて余りに腹立たしい、だから気まぐれということにしてやる。



滞在期間ももう半分を過ぎているのに彼女に固執する理由などクラッカーは考えもしなかった。迎えの船は着実に近づいてきている。



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