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2019/09/26 18:52

「なるに1万B」
「普通になるに2万B」
「まぁなるに5万B」
「おいおいこれじゃあ賭けにならねぇじゃねぇか!!誰か!!誰かならないに掛けるやつ居ないか!?」
「間に合わないに10万B」
「おお!大きく出たな……っておまえはただ抜かされたくないだけじゃねぇか?」
「勿論それもあるけど?」
「皆さん何を…って本部内で賭け事なんて何してるんですか!!」

 海軍本部の一角、ガープ隊が主だって使用する修練場に軽く人だかりが出来ていた。なので近づいて見れば、なんと賭け事に興じていて思わずコビーは非難の声を上げた。サイコロだとかトランプ花札などは無かったので気づくまで時間がかかってしまった。


「残念コビー、海軍にもギャンブラーは多いよ」
「しかも賭けの中心はお前だしな」
「え、ぼくですか!?」
「『コビーは20歳までに将校になれるかなれないか』」
「ならおれはなれるに10万B」
「ちょっとヘルメッポさんまで!!」

お前もケツ叩きに賭けとけばいいじゃねぇか、と笑う親友に、コビーは掛けられた期待に対する照れも相まって押し黙ってしまう。

 海軍元雑用コビー及びヘルメッポは海軍本部の中でも浮きに浮いている。平和呆けの海の東の海の出身、しかも片方は悪政により海軍本部を除名になりその上逃走した男の息子。破天荒を人の形にしたガープがわざわざ連れてきた。そして当初より「海軍将校になる」「父親を超える」と身の程知らずとも言える夢を語り、更に1年足らずで階級を駆け上がり今や軍曹と曹長。身の程知らずの夢は夢と言うには近すぎる所まで来ている。そして先日は遂に「海軍大将になる」とまで息巻いたばかりだ。


「なります!!なってみせます!!けど賭けはしませんからね!!?ヘルメッポさんも撤回して!!」
「やーだーね」
「そうだぞ待ったナシだ」
「なんじゃなんじゃわしも混ぜろ!!なるに100万B!!」
「中将まで!!」
「そろそろ〆ますよ〜〜?結局ならないに賭けたのは1人だけか?」

 もしもが起きたら大勝ちだな、と仕切り役が笑う。どうやら誰が幾ら賭けたかを書き出したものを回して署名をさせている。結果がわかるまで数年とかかるのもあり、実際に金を集めるのは今では無いようだ。


 非難しておいてなんだが、皆が期待してくれているのは素直に嬉しい。しかし大穴に賭けた人物は果たして誰なのだろうかとリストを見てみると、線で区切られて孤立している部分によく知る人物の名前があった。雑用時代からガープ隊で世話になっている上官兼先輩だ。

「夢主さん!!なんでですか!!」
「私が逆に張らなきゃ賭けにならないし?大穴楽しいし?何より悔しいし?」
「だったら貴女も昇進すればいいだけじゃないですか!!」
「流石大将になる男は言うことが違うねぇ」

 夢主の現在の階級は中佐だ。正直実力もあるしもっと上に行けるとコビーは思っている。賭け事なので期待していない訳ではないのだろうが、実力を買ってくれていると思っていただけに悔しい。

「大体ここ数年で10代で将校になった人物なんて1人しか居ないって知ってて言ってるの?それ」
「は?まじで?」
「先日昇進したスモーカー准将でも将校の中では若手だしな…」
「10代で将校なら今は20代か?そんな人いたっけ…支部付きの将校か?」


 海軍は実力主義の世界だが、それでも上へ行くとそれなりの年齢が多い。それは積み重ねた経験の長さでもある。それにしてもそんなに高い壁だったとは…。特に少将から中将、中将から大将、大将から元帥への差は理解していたつもりだったが、そこまで大きな壁だったとは。益々「大将になる」との目標の大きさを思い知る。…ならば、その1人とはどんな人物なのだろうか。


「聞きたい?少将の話」

 キラキラと、自分が憧れる彼の人のように顔を輝かせる夢主に首を縦に振った。一体その『少将』とはどんな人物なのだろうか



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