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2019/09/24 17:04

このご時世、人骨を見る機会はそれなりにある。だがそれを好んで触れに行く奴といえば余程奇特な奴だ。

「どうせ誰でも いつかは骨よ 果てなし当てなし笑い話」

誰でも知っている歌の一フレーズを口ずさみながら、小さな手が物怖じせずに骨に穴を開けて糸を通していく。弔う意図などなく、ただそこにあったからと知的好奇心と創作意欲を満たす為の行為だ。

「なぁ」
「なに?キラー」
「『Rbhu』」
「…発音が違う。『Rib』」

暇潰しがてら読んだどこかの国の神話で、彼女と似た名前を見た。神話というのは突飛な展開が多くて、しかも記述は少なかったが、物作りの巧さで神に至った者にどうしても目が奪われた。しかし彼女は自分を、別の宗教では神の手で人になる前のものだと言う。

「私は肋骨、心臓と肺を守るもの」

ぐぐ、と糸を引くと、並べられていた骨が立体的に立ち上がり人の胴を形作る。こう見ると骨なんて隙間だらけで心臓や肺などの臓器を守るには心許ないが、隙間がなければ身体は上手く動かないという。糸を留めて切り、その可動性を見せてくる。

主要な関節を潰せば動きを封じられるし、この骨の間をこの角度で刺せば抵抗が少なく内蔵に届きそう、などと言う顔は淡々としている。亡骸で遊んで、亡骸で学ぶのかと思うと気味の悪いやつだ、と頭の中の理性的な部分が感想を述べる。感情的な部分はと言えば精々「こいつらしいな」程度のものだ。

こいつの思考回路は理解出来なくて、何か人ならざるものが関わっているのではと、つい思ってしまった。



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