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「#幼馴染」のBL小説を読む
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呟き
2017/12/22 08:04

時々、本当に時々、マスカルポーネとジョスカルポーネが、シフォンとローラが、隣に片割れがいる彼らが羨ましかった。

うちでは良くある事だが、私も幼い頃に脚長族特有の脚を詰られたことがあった。その時私だけが違うというのが寂しかった。
その為兄姉たちに「わたしにはふたごやみつごのきょうだいはいないのか」と問うた事がある。
その時兄姉達が妙な顔をして黙ったのは今思えば納得の事だ。

偶然というべきか奇跡と言うべきか、ある兄夫婦の会話を聞いてしまったのと、ある写真を見つけてしまったのは同時期の事だった。

兄嫁は異様に腹の子がちゃんと五体満足で生まれてくるかを気にしていた。大丈夫だ、健康な子が生まれると宥める兄と、もしもの時は私も子と万国を出ていく、と悪い想像をする兄嫁の会話。これだけ聞けばただの度の過ぎたマタニティブルーだった。

それから数日も経たないある日、城内図書館で何となく兄妹アルバムを捲っていた時にはらりと1枚の写真が落ちた。それを拾うとそこに写っていたのは、少し濃い肌色と薄い髪色と、成人並みに長い脚のバランスをした赤子。つまり生まれた頃のスムージーの写真だ。それだけなら問題ではない。その隣に、見切れて同じ姿の赤子が写っている。

スムージーは気づけばママに詰め寄っていた。するとビッグ・マムは少し間を置いて肯定した。曰く生まれながらに足が欠けていて体も弱く程なくして死んだという。縁起がよくないから生まれた子供の数には含めていないと。

スムージーには双子の兄がいた。いやまだいるのかもしれない。兄嫁の言い方を考えると兄は死んだのではなく国を追われたのかもしれない。

スムージーは考える。もしも片割れの兄が隣にいたならと。



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