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12

朝練が始まり徐々にギャラリーが増えてきた。
朝早くから頑張るなぁ、と他人事のようにマネージャー業をしていれば

「咲良くーん!」

と女子の声が響く。
ふと金網を振り返れば「きゃー!こっち見たー!」と声を上げた。
思わず苦笑して手を振ってみれば、手を振り返してくる彼女達を横目に早々空になったジャグを運び水道で洗い乾かす。

「有澄さっすがモッテモテじゃん」

「そんなことないよ」

梅本さんと夏川さん、貴子先輩がニヤニヤとこちらに来る。

「朝練まで見に来るのは珍しいわ…」

「まぁ、ですよね…
すみません、うるさいならこないように言ってみるんで」

「いいのよ!女の子のギャラリー多い方が選手達もやる気出るだろうからね」

「梅本さんや夏川さんは大丈夫?」

貴子先輩はそう言うが彼女たちは不安かもしれない。
女は怖いから。

「梅本さんって…ちょっとなに他人行儀ー!
幸って呼んでよもう!」

「私も唯でいいのに…ってかウチら有澄って既に呼んでるしね!」

「あー、じゃあ幸と唯ね、大丈夫?」

「大丈夫〜!
うるさくても変わんないよそんなの!」

部員の声出しのがうるさいし、と笑う彼女たちに思わずまた笑ってしまった。

「咲良、ちょっといいか」

「はい」

「放課後ブルペン頼めるか?」

「分かりました」

滝川先輩に言われ放課後のスケジュールを組み立てる。
ベーランの間にドリンク、ボール出しにゲージ、用具出し…かな…

「咲良くん放課後の出るのー?」

「えー見に来よ」

聞こえた声に苦笑した。

*

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