×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
深夜の病室



「松田さん起きてる?」

「……」

深夜のICUには一定のリズムで機械音が響き、人工呼吸器から流れる空気の音がかすかに鼓膜をノックする。
本来ならば美音と松田は個室へ入院する予定であったが警備の利便性で大部屋に入院している。

「寝てんのかよ……」

彼女が隣のベッドに寝ている松田へ声をかけるも彼からは一定の呼吸が聞こえるばかりで返答はない。

「それとも怒ってる?」

「……別に」

「怒ってんじゃん!」

「うるせえ深夜の病院だぞ声量考えろ」

彼の注意に美音は口を閉じた。

「……あ〜……あんまりお前は気にすんな。
絶対無茶するってわかってて最初から関わらせていたのは俺と萩原なんだしな」

「そこは気にしてないけど」
「ちょっとは気にしろや!」
「ちょっと深夜の病院だよ声量考えて」

先に言った文言をそのまま返され軽く舌打ちをしてくるりと松田は彼女の方へ体を向ける。

「怒られたのも関わったのも全部私が私で決めた選択だよ。
飛び降りたのも、松田さんを蹴り出そうとしたのもね」

「そうかい」

「え、なに? 心配してくれてたの? えっやだ〜」
「うるっせえ……!」

「へへへ……だから、別に怒られたのとか私の責任だとかそこは気にしてない。
怒られたのはみんな私を心配してくれてるからだし」

「あ〜もういいわ寝る」

「ふて寝って子供か。おやすみ松田さん」

「おう」

どうせまだしばらく寝れないからまた壁へ体を向けて目を閉じた松田を背に反対を向く美音。
松田が問いかけようとしていた事は結局口から出ることは無かった。


深夜の病室

*

prev next
back