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1人になんてさせない



無理矢理乗り込んだ観覧車の中。
私を見る松田さんの目は鋭く、静かだが怒りがにじみ出ている。

「怒るのもわかるけどさ、
まずはここから出るのが先決でしょ?
文句も説教も、後で好きなだけ聞くよ」

絶対に、死なせないんだから。
少なくとも、1人では。

「ったく……まぁ、こうなっちまったもんは仕方ねぇ。
で、本体は…──!?」

観覧車が爆発し止まる。

「っ……ぶな……松田さん平気?」

「あぁ……だが、ご丁寧に水銀レバー(こいつのスイッチも入っちまったな……」

中途半端な高さだが、落ちたとして上手くいけば足を折る程度だろう。
一か八かだけど、まぁ自分を信用してもいいよね。

「さーてと……」

「松田さんはこれどうする?って……あ〜……佐藤刑事だわ……」

「あ〜……お前出とけ俺は萩からだわ」

「アハハ……もしもし……」

『美音ちゃん!? 大丈夫!?』

「大丈夫だよ〜ちょっと揺れたけどまあ爆弾も無事……振動で動いちゃうスイッチはいちゃったけど……」

『それって……!
観覧車から下ろせないじゃない!』

「うん。詳しくはそこで松田さんと電話してる萩原さんに聞いてね。
大丈夫。死なないよプロがいるからね〜」

とだけいって一方的に電話を切る。

「勇敢なる警察官よ……君の勇気を称えて褒美を与えよう……
もう一つのもっと大きな花火の在処のヒントを……表示するのは爆発3秒前……健闘を祈る」

横では松田さんがパネルの文字を読み上げる。

『はぁ!? てめぇそれ見るために解体しねぇってんなら俺が直々にぶっ殺すぞ!』

電話口からスピーカでもないのに萩原さんの声が響く。

「松田さんそれ一応ギリギリまで解体してよ。大丈夫。3秒でしょ? 多分解けるよ」

ぐるぐると思考が回る。
まあ、解けなきゃ死ぬだけだね。私が。

出入り口は一つ。
私は奥側だしまあなんとか押し出せるでしょ。高さ自体は大体100m位だし…
あとは運かな。

「あぁわかってるよったく……なんでお前はこうも勝手に行動するかね」

といいつつも水銀レバーに触れないように姿勢を低くして解体している。

「わかってるのは病院だけど総合病院から個人院まで合わせて何個あると思ってんだか……」

「まあ特定は不可能だな」

ヒントを見ればわかる。3秒前から表示される文章を読むのがまずは2秒に留めて1秒でコードを切る。
のが一番助かる可能性が高い方法。
病院なんて吹き飛べばとんでもないことになるのになんつーもん設置してんだクソッタレ。
でも何でだろう。やっぱり、思い出せないんだよね。
もう一つの爆弾の在処。

「美音。お前は降りろ。
どうせ丸腰では来てねえんだろ」

だなんて全く松田さんはひどいなぁ。

「ここまで来て逃げろって言うの? やだよ」

1人になんてさせない

だったらイレギュラーの私が死ぬのが筋でしょ、なんて。

*


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