どいつもこいつも自分勝手
あいつが席を外した間に一通のFAXが届いた。
あの犯人以外に居ない。
そして何より、この文章が示す場所はひとつだ。
「萩ィ! 行くぞ!」
「はいはい!
すんません俺ら出ますわ……美音はどうする?」
「連れてけるわけねぇだろ……
このタイミングってことは来んなってこった……!」
丁度席を外しているあいつはいまこのFAXの内容を知らない。
何を知ってるのか知らないが、このFAXさえ見せなければ、今あいつを置いていけば、あいつはこんな危険な事に巻き込まれないはずだ。
「ちょ、ちょっと松田くんに萩原くん!
勝手な行動は……「急がねぇとバカみたいに人が死ぬぜ佐藤ッ!」っ分かったわ……
目暮警部!」
「分かっておる! 白鳥くんにも連絡しろ!
絶対に逃がすな!」
バンッと何かの裏紙に走り書きで一言だけ残して外に向かう。
あぁ、俺も人のこと言えねぇな……
「後で絶対に美音にドヤされるぜ」
「だろうな」
どいつもこいつも自分勝手
書き置きを見たあいつが持ち前の身体能力で俺らを追っているなんて、今は知る由もない。
*
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