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類は友を呼ぶ



日曜日
午後2時

「どーも」

「ごめんね、来てもらって」

「いえ、大丈夫です
で、渡したいものって?」

男が傘を返した駅の前。
お互いに顔は見ず、傘を差したまま横並びに立つ。この日も雨が降り双方の雨傘はしとどになっていた。
跳ねる雨水は足元を濡らした。

「これを渡してほしいんだ」

渡されたのは3つの白い封筒。
表には「萩原」「伊達」「松田」と書かれそれぞれに宛てたものだと分かる。

「……これって……」

「君は3人と仲がいいだろう?
俺が直接渡せばこいつらを巻き込む可能性がある」

「……分かりました
お渡ししておきます」

濡れぬよう彼女は鞄に丁寧に差し込む。

「……胸元のソレ、使うんですか?」

「……さすがだね。
使う時は使うさ……それじゃあね」

「……へぇ〜……」

その時、水が跳ねる小さな音が私たちの前で停止した。

「……遅いぞ」

前には黒い服に長髪、そして背中にはギターケースを背負った男性。
声に聞き覚えがある。

「あぁ、悪い
少し知り合いに会ってな」

「……お仕事ですか?」

「そう
じゃあね、よろしく」

そう言ってパシャパシャという音を立て2人の男性が去っていった。

「……さて、と
やるかぁ……」

肩を竦めて距離をとって二人の男を追った。

類は友を呼ぶ

*

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