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少しも進まぬこの道に



原作とは少し違ったが松田さんと萩原さんが捜査一課強行犯係に配属されてしばらく経った。
私と彼らがあの事件の犯人を捕まえるための共犯者であることは違いなく、今もなお目暮警部に事件に関して呼び出しを食らうこともしばしばあることから、今まで以上に二人と共にいる時が増えた……ような気がする。

「美音」

警視庁内で声をかけられ振り返れば、そこには松田さん。
相変わらずの咥えタバコは健在で、その匂いがふわりと鼻に届く。

「松田さんちゃんと仕事してよ。
先週佐藤刑事がすごかったんだから!」

「……ソレ先週の火曜か?」

「そうだけど」

なぜ分かったのか、と視線で話すよう促せば

「アイツが二日酔いで死んでた」

と簡潔に述べられ、成る程、と納得するほかなかった。
確かにかなり飲んでいたし由美さんでさえも注意していたし……私もセーブさせるべきだったな〜……


「で、お前の方はどうよ」

順調か? と続けられた言葉に思わず苦笑した。
順調ならもうすでに目星もつけて報告している。

「ぜ〜んぜん。さっぱりよ。
解体したあの時の爆弾も遺留品として調べ尽くしたんでしょ?」

「ああ、まあ科捜研モンだな」

「科捜研が調べててほぼ証拠なしなのにそう簡単に情報は降ってこないよ。
昔に比べて情報社会にはなったけど……」

それでもまだまだだ。
ネット社会になったとはいえ、あそこまで手の込んだ警察への煽りを見て、犯人もバカではないのだから簡単に情報をだだ流しになんかしない。

言いながら頭を掻けば遠くから萩原さんが歩いてくる。

「よっ美音来てたのか」

「進捗はないよ」

「それ聞くために話しかけてるんじゃないってば〜」

も〜! と眉を下げる彼に廊下での空気が緩む。
ムードメーカーだなあ……

思わず二人でふっと笑った。

少しも進まぬこの道に

*

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