酒は飲んでも呑まれるな
「ちょっと美音ちゃん聞いて!」
ドンッ
とジョッキを机に力強く下ろした。
「あーあーご立腹だねぇ」
「由美も他人事じゃなぁい!
松田くんよ松田くん! 萩原くんは百歩譲って許せるわ! でもあの男ぉ!」
「佐藤刑事落ち着いてよ……」
「落ち着いてらんないわよ!
まともに聞き込みもできないんだから!」
「えぇ〜……まじ?」
「マジよマジ! 初日になんて言ったと思う!?
『来たくもねぇ課に送られて』って!!!」
「う、うぅん……
まぁそれは……確かにちょっと失礼かなぁ……」
「ちょっとどころじゃないわよ!」
事の発端は1時間前。
佐藤刑事にご飯行こう! と事件終わりに引っ張られればそこには由美さんもおり、居酒屋に突入した。
「別に華の捜査一課〜とは言わないけど、警察官としての職務を果たしてほしいのよ。
配属された場で仕事をこなすこと、私たち警察官しかできないことでしょ?」
「そうだね。
公権力を行使するならば、それ相応のリターンをするべき、ってところかな」
「何を探ってんのか知んないけど……
とりあえず、引きずり回す」
やっぱりこの人を怒らせるべきじゃない。
酒は飲んでも呑まれるな
*
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