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ぷかぷか浮かぶ



暖かい。

冷たい水からすくい上げ暖かな何かが私の体を包み込んでいる。


遠い日の幼い頃、母や父、はたまた兄がしてくれたあの記憶が呼び起こされた。


ぷかぷかと、暖かい中に浮上する意識。

しかし突然、

「美音〜! ママよ〜!」


高く可愛らしい、母というよりは、少女と言えるほどのまだ子供の声。
幼さはないが、女性でもない。


「ちょっと有希子! やめてよ信じたらどうするのよ! 美音〜! 有希子おばちゃんはもう学校だから言ってらっしゃいするわよ!」

乱入した声は女性。
しかし、そこまでの年齢でもない。
私より年下、高校生かそれくらいではないだろうか。


「ちょっとお姉ちゃん! おばちゃんは無いでしょ!
まだ15歳! ピッチピチの女子中学生なんだから!」


中学生。なるほど、道理で幼さの残る声だ。

ところでなぜこの子達が近くで私の名を呼ぶのか。

私は先に冷たい水に身を投げうった。
きっと死んだはずだ。
それとも助かってしまいここは病院かなにかだろうか?
となると彼女らは同室の見舞い客だろうか?

それにしては距離が近い。
重い瞼を押し上げると


「……!?!?!?」


目の前には先ほど声を発してた若い女性が、
問題はそこではない。
私の視点だ。

下から覗くように顎下から見える。


「あら! 起きたのねおはよう」


こちらを見下ろし微笑む。

思わずバッと手を目の前に引き寄せる。
ぷにぷにと柔らかそうな紅葉のような手。
それは小さくなんとも頼りない。


「!?!?!」


目を見開いた。

わたしのて!?!??


「あはっかーわいー!」

「あっあうあー!」


どうやら信じたくはないが夢ではなさそうだ。


転生、ということなのだろうか?


ぷかぷか浮かぶ

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