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修行日和



「ったくお前は昔っからそういう所あるよな
マジで白樫に似てきたな」

「だからぁごめんってば!」

ネチネチと道場に向かう道中にずっと2時間放置したのを皇くんが言ってくる。

「ごめんで済んだら警察いらねぇんだよ!」

「なんなの! ネチネチネチネチ!
そんなんだから結婚できないんだよ!」

「てめっ!」

「京都の女かよ!!!!」

「うるせぇ!! 女は京都じゃなくてもネチネチしてんだよ!!」

「はい今女敵に回したー!
全世界の女敵に回したー!
絶対結婚出来ない〜!」

「てめぇマジで覚悟しろ」

お察しの通り今から皇くんとクラヴ・マガの修行です。

「仲いいねぇ〜」

「内容はどっかで聞いたような話だけどな」

……やっぱり言うべきだよね?

「いや、なんでこいつらが着いてきてんだよ」

皇くんが先に振り向きこっちに聞いてきた。

「知らないよ……」

「というか、あいつら前にお前が撒いたやつじゃねぇか?」

「そうだよ」

そうだよ。間違いないよ。
私が割と最近撒くためにポオ使った人だよ。

「なんだよ
仲良くなったのか?」

「うーん……まぁ……」

「なんだよ煮えきらねぇな……」

「仲良くなったっていうか、うん……」

「なぁに? ほらお友達っしょー?」

「20代の友人はまだいいかなぁ……」

「ハッ」

目を逸らして言えば皇くんが鼻で笑った。

「喧嘩売ってんのか?」

ガシッと松田さんが私の頭を片手で掴んだ。

「イッ……!?!?
ちょっイタッまっ!!!
やめっ!! 痛い!!!」

「自業自得だ!!」

横では皇くんがゲラゲラと声を上げて笑っている。クソ腹立つな!!!!

「くっそ!!! ハッ……ハハハ!!!」

「ちょっと!!
可愛い弟子が襲われてるんだからなんか、ちょっ助けてよ!!」

「俺的にはいい気味だからそのまま潰されろ」

「裏切り者!!!! いったい! ホント離して! 痛いから!」

「仕方ねぇな」

と手を離してくれた。
いや、離してくれたっておかしいな。

「女の子なんだからやめてやれって」

苦笑するのは萩原さん。

「松田さんは自分の握力を把握するべきだよ痛いんだから!」

「はっ! そんなに強かねぇよ」

「現役機動隊!! あなたの身体能力を把握して!」

そんな話をしていると道場が見えてきた。
まぁ、道場と言っても小さい建物だが……

「あ、やべぇ、鍵渡しとくから先入ってろ
俺コンビニ寄るわ」

「またぁ? りょーかい」

とコンビニに向かう皇くんの背中を見送る。

「と、言うか……
2人とも帰んないの?」

「えー? ダメ?」

「いや、ダメっていうか……見てても面白くないよ?」

普通に皇くんと修行するだけだし。

「美音ちゃんがどんだけ強いかみたいなって」

「……あー、あそ……」

鍵を開けて中に入る。
マットが数枚床に広げられており、打ちっぱなしのコンクリートの壁。

「へぇ、立派なもんじゃねぇか」

「そう? 適当なとこ借りただけだよ
じゃ、私着替えるからそこらへんで適当にしてて〜」

奥の更衣室に入って道着に着替え、戻ると

「……ほんとにめちゃくちゃ適当にしてんね……」

尊敬するくらい寛いでる2人に思わずジト目で見てしまった。

「ういー帰ったぞー」

「おかえりお父さん。
ご飯にする? お風呂にする?
それとも……」

入ってきた皇くんの手に持ったビニール袋を受け取りながら

「コレかァァァァァァ!!!!!」

ブゥンッと右足を急所めがけて振り上げた。

「ぶねぇ!!!!!
ってめ! 金的は禁止だっつったろうが!!!」

「実践じゃ反則も禁則事項も無いよ。
男は大変だね、急所が女よりひとつ多くて」

「やめなさい! 年頃の女の子が!」

「あんたはお父さんか」

「似たようなもんだろ」

「……間違ってねぇわ確かに」

父さんと同い年だし、生まれた時からの仲だし。

「……そういうの毎回やってんの?」

と萩原さんの口角がひくりと引き攣っている。

「そうだね。大体奇襲仕掛けてる」

「まぁ修行のうちだなこれも。
1日1回は奇襲をかける。
いつどこでかけるかは自由、但し調達した武器の使用は禁止。武器を使用するならその場にあったものか、所持品のみ。俺に一発でも入れられれば次のステップに、ってやつ」

「街中でかけたらめっちゃ視線が痛いから大体知り合いの多いこの近辺でしか掛けれないけどね」

「だろうな……」


あれ? 若干松田さんも引いてない?


修行日和


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