どこから漏れた
「ちょっと父さん!! なんでまだ荷造りちゃんとしてないの!?」
「いいじゃないか。
生活用品は先に送ってあるんだから」
「はぁ!? パリに行くんだからそれ相応の準備はしておいてよ! 着いてからあれがないこれがない! って私がいちいち送るの嫌だよ!?」
「ええ〜日本食が恋しくなったら「あんたで作れ!」美音ちゃんの料理が食べたいの!」
くっそ気持ち悪いし腹が立つ!!!!!
このクソ親父!!!!!
人には一人暮らしは物騒だからっつって預けるくせに!!!!
「あら〜日本食なら私が作ってあげるわよ」
あっ
ピシッ
「ちょっマ、ママ?」
やっちまったなァ!
母さんの手に収まる湯呑みがひび割れた。
「だからぁ、さっさと準備してほしいわねぇ、もう子供じゃないんだからァ……は、る、ひ、こ、さん?」
こっわ!!!!!!!!!!!!
「すいません!!!」
この家の最強は母さんかな???
私の方も少しずつ荷物を工藤邸に運びつつ、徐々に向こうに住む準備をしながら、2人がパリに発つ1ヶ月後に、同時に工藤邸に住むことになっている。
「やっぱり美音ちゃんも一緒に住もう……!」
「はぁ? もう高校も決まったから無理!
今更帝丹蹴れって言うわけぇ?」
「美音ちゃんなら向こうの高校でも大丈夫でしょ!?」
「フラ語は無理だよ」
しつけぇ。
しつけぇなこのおっさん!
「もう、パパ?
この子が決めたことを今更蒸し返さないの!
2週間後には1度準備に向かうんだからね?」
「分かってるけども……」
──────なーんてことがあったのが2週間前。
そして、一時間くらい前に戻りたいのは今。
「……何しに来たんすか」
「冷たいなぁ〜
一人で寂しいかと思ってきたのに〜」
「ロリコンなの?」
「あっそれ昔も聞いた気がする!」
突然鳴ったチャイムに玄関を見れば萩原研二。
と、松田陣平。
「間違っちゃねぇだろ」
「ちが、ロリコンじゃないよ!」
「っていうかなんで1人って知ってんすか……」
「独自の情報網」
「独自の情報網で幼気な少女の家に押しかけるのは警察呼んでいいですか?」
「それが俺らが警察なんだよねぇ」
「知ってるわボケ」
「え?」
「おっと口が滑った」
「思ったより口悪ぃなお前」
「帰ってくれ!!」
「まぁまぁ! ちょーっと話聞かせてくれるだけでいいからさ!」
どこから漏れた
クソめんどくせぇ!!!!
*
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