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調査にリスクはつきもの



先日目暮警部から電話があった。
内容は私が先日の爆発事件を事前に最近事件の予告無かったか、とFAXの件を聞いたりした事から、なにか絡んでるのではないかという事と、その犯人のひとりが車に轢かれ、被疑者死亡で送検されたということ、FAXは恐らくもうひとりの犯人からであろうという事。
予告があったのではないかという事は、こちらが実地調査をして、掴んだものであると誤魔化したが誤魔化しきれてるかは怪しいものだ。

何やらきな臭いが事は原作を主軸にきちんと動いているようだった。
死亡した被疑者には悪いがあまり引っ掻き回せば大変なことになる可能性を考慮して助ける手を離してしまった。
もしも、助けたとして犯人が割れ、観覧車の件が無くなったとして、その先何が起こるかがわからないのが一番怖い。
事を起こさせ、それを上手く死者0に抑えるのが一番の解決策であり、妥当な手だと割り切った。

優秀な人材はきちんと保護しておくに限る。
ただ、気がかりなのは、私が思い出せないことがあること。
そもそもマンションの場所はどこでも公表してなかったし、面識のある捜査一課の方から軽く情報を流してもらうことで把握出来たが、今度の「杯戸ショッピングモールの観覧車」の次の現場が思い出せないのだ。
ずっと考えているにも関わらず。

転生なんかがある世の中だ。
何か説明のできないものが妨害をしているのかもしれない。
それは、神かもしれないし、悪魔かもしれないし、
彼らの首を刈り取ろうとする、死神かもしれない。

それに、この爆弾事件の件でなにか捜査に進展があれば報告してくれる運びとなった。
普通なら有り得ないが、3度ほど、優作くんと父さんの代わりに現場で事件を解決して以来、捜査一課からは信頼をきちんと得ている。
勿論、この推理力は今生での遺伝子によって私に組み込まれたものだろう。
前の私であれば推理など到底不可能だったし。
こんな異例である許可を出したのは、松本管理官である。

原作で何度も転属を希望した特殊犯係と伝ができたのは松田さんにはなんとなく申し訳なく思った。
というか、こんな事があって松田さんはきちんと強行犯係に転属になるのだろうか?
萩原さんは生きているのならば、気にしないでそのまま爆処理に居続ける可能性は十分ありえる。では、彼が爆処理から離れなかった場合、観覧車の爆弾ともう1箇所の爆弾は誰が解体するのか……?
観覧車は爆発しても恐らく避難さえすれば被害は少ない。
だが、もう1箇所は? 場所はわからないが、あの姑息な男が被害のない場所に仕掛けるとは到底思えない。円卓の騎士、これだけは覚えている。
円卓の騎士、Knights of the Round Tableとは、アーサー王物語にて、アーサー王に仕えたとされる騎士を指す。時代は中世で場所はヨーロッパ。
当時の騎士たちの殆どはエンブレムや象徴に、十字架を使ったデザインを好んで使っていた。つまり、十字架が表す病院。
しかし、病院と言ってもピンからキリまで様々だ。
被害の大きさを想定すると個人病院は外してもいいとして、総合病院や大病院ですらもその各所を閉鎖し、調査するのは難しい。いずれにしろきっと甚大な被害が出るのは第二現場になる。
全ては一年後の11月7日の彼らの反応次第。
これで、4年後のことも決まる。

それに、後にはスコッチの件もある。
彼に関しては調査をするべく、危険な目にあうだろう。
本格的に探偵として活動する必要がある。
あまり目立つのは得策ではないが、情報というものは、求めずには手に入らないのだ。

「……情報屋になるのも手かな……」

いや、無理か。
事前に組織のことを誰かしらから情報を得ても、情報屋として活動するのであれば可能な限り、表社会から姿を消す必要がある。それはきっと、この家に生まれたからには不可能だ。

思わず出た溜息に余計に気が重くなった。
スコッチを助けるには、さて、どうしましょうか……?

─────────

「おう、どうだった?」

「ダメだな。受付は顔と名前は知ってるけど、家までは知らねぇってよ
どこに呼ばれたかは答えらんねぇと」

「なんかの参考人か?」

「その可能性はあるな……」

あの少女の事を調べるが、何しろどこに用があるのかが分からなかった為、受付で話を聞く。
名前は白樫美音ちゃん。家は知らないと。
だがそこを聞いてすぐに背後から庁内の御局のババアが『機密事項』と言って、受付の子を叱ってしまった。
それ以上は聞き出せず、どういう子なのかも聞けなかった。

「まぁ、機密事項なんかこの庁内にゴミより多くあるけどな」

「確かにな……
白樫 美音ちゃん……ねぇ」

「ンなことより、聞いたか?
爆弾魔、1人が被疑者死亡で送検されたって話。
その前に『どんな手を使って生き残ったか知らんが』って殴り書きのFAXが届いたって話も」

松田がペラりと新聞を広げ指した。

「あぁ、聞いたさ
お陰で班長に『お前死にかけたのわかってんのかー!』って怒鳴られたしな」

「まぁ、これを教訓にちゃんとテメェで防護服着ろってこった」

「うるせぇな……わぁったよ……」

「妙なのは『どんな手を使って生き残ったか知らんが』だろうな。
元々奴らはお前ら第二現場の機動隊員を皆殺しにするつもりだったんだろうし、タイマーが一瞬6秒で復活したんだろ?」

「あぁ」

「なら、話は簡単だ。
止めて油断させて遠隔操作で6秒前から復活させた。6秒じゃあの20階の閉鎖空間から逃げることは不可能だからな。防護服来てなかろうが走ってもせいぜい50m。
あの規模の爆弾じゃ20階から22階位の3フロアは吹っ飛ぶ。6秒の恐怖で甚振り殺す気だったんだろう」

と、相変わらず人の気も知らずにエグい事を言ってくれる腐れ縁に寒気が走った。

「こ、こえぇ〜……
覚悟は出来てっけどそんな死に方は流石にゴメンだぜ……」

「他人事じゃねぇぞ、班長から聞いただろうが
この事件、犯人のひとりが被疑者死亡で終わらねぇって」

「あぁ、まぁ知り合いの爆弾関係の人間に当たってみるか、俺の命を狙った代償はデケェぞ……」

「なんなら、特殊犯係に転属希望出してみるか?」

「特殊犯係?」

「仕事でちゃんと追えるし、その美音ってあのガキが絡んでる可能性も無くはない」

「なーるほどね! 確かにな〜!
またややこしい爆弾でも出されちゃ困るし、なにより、あんだけの人数の仲間を標的にした奴をいつまでも野放しにはしておけねぇな」

希望が通るか、というのは恐らく、自惚れちゃいねぇが俺と松田は、処理班でもエースとして重宝されているから、特殊犯係に転属希望は簡単には通らないだろう。
それに、現場に出る『刑事』になれば、あの子についても知れるかもしれないしな。

調査にリスクはつきもの

待っててくれよ。
白樫美音ちゃん

──────
なんか寒気した!
リスキーな調査とか原作改変してるからかな!?

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