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神様アンタどっちの味方だ!



呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!
え? 古い? そうだね! 古いね!
実は目暮警部に呼ばれて今警視庁の一課の強行犯係に居た。

「悪いね美音くん」

「いえ〜、で?
優作くんや父さんじゃなくて私になんですか?」

心当たりはないんだがな。

「それがな、これを見てほしいんだ」

と、差し出されたのは一枚の紙。
それはFAXらしく紙に殴り書きされた文面が犯人の荒い気性を表わしているようだった。

『警視庁諸君
どのような手を使い生き延びたかは知らんが、勇敢な警察官諸君を讃えよう。
これからも健闘を祈る。』

なるほどな。
全て犯人が思惑通りにならなかった。
だから、伏線を仕掛けた。

「なんですかこれ?
厨二病?」

「厨二病? なんだねそれ?」

「いや、分かんないならいいですけど
随分馬鹿にされてますね警察官」

「あぁ、筆跡鑑定をしても該当なし
なにか繋がりそうなことは思い当たらんかね?」

いや、中学生に頼るのやめない?
しかもわざわざ呼び出して。

「さぁ?
でも、生き延びたか分からんが、ってことは、警察官がなんか危なかった事件とかあります?」

「そういえば君も知っとるだろうが、数日前に2箇所に爆弾が設置された事件が起こっている。
解体した機動隊員の話によれば一瞬停止していたタイマーが復活後、停止。無事解体完了。
その後、本庁に犯人から声明でまだ一つ爆弾が残っていると笑いながら電話がかかってきおった、そして2階上で新たな爆弾を発見したが、無事解体。
───そういえば、そこで中学生がいたって隊員が言っておったが……まさか美音くん……」

「いやいやいや!!
なんで!?!? なんで疑うの!?」

「君ならやりかねんからなぁ……
FAXの件も事前に知っておったみたいだし……」

「どういう意味っすか!?
FAXのは調べたら事件とか起こりそうな感じだったから!
もう !じゃあその爆弾犯じゃないですか?
どのような手を使い生き延びたかは知らんがってことはその犯人は何かしら仕掛けを爆弾にしてたはずです。
それが作動せず爆処理は成功。死者はゼロ。
なら、これが第一のアクションじゃないかなーと。
多分、まだ、何かあると思う」

もう既に原作からはズレてきてるけれど、あの男はきっとまたやるだろう。
円卓の騎士、ね。

「悪かったねわざわざ来てもらって」

「いーえー、どうせテスト期間だし、暇だったんで」

と扉を目暮警部に促され潜る。
優作くんや父さん、小五郎くんに付き添って来ていた為、道は覚えている。
エレベーターを待っていたが、どうも1階ずつ停止しているらしく時間が掛かる。

溜息をつき、階段を向かう。
そういえば母さんがまだ今日までは暇だのいっていたから迎えに来てもらおう、と携帯でメールを打っていると、突然ガクンッと下へ踏み出した足が落ちる。

「ひっわ!?」

うっそ待って!? 階段もうだったの!?
これは落ちるな!? 受け身とれるかな!?
警視庁で大怪我とか笑えねぇ!!!

目を思わずつぶり、衝撃に備える。

「っと! 大丈夫?」

想像した衝撃はなく、ぽすっと軽く何かに当たる感覚、何かに受け止められた。
けど、聞き覚えのある声である。

わ〜! 嫌なよか〜ん!

恐る恐る目を開き、助けてくれた彼の顔を見る。

「……って、まさか」

腕が緩んだ瞬間、下へしゃがみ込み左足を軸に一回転して階下へ向かう。

「おわっ!? ちょっお嬢ちゃん!?」

「助けてくれてありがとう!
じゃあね!」

駆け下りると

「陣平ちゃん! 捕まえてくれ!」

「はぁ!?」

「ゲェッ!!!」

すぐ下にはあの松田さんちょっとほんとこれふざけんなよ!!!!!

階段の手摺を乗り越え階下へ着地。

「逃がすか!」

「まさかあいつが!?」

「そうだよ! なんでいるかは分からんがラッキー!」

「ほんとお前ロリコンか!?」

「ちげぇって!! でも可愛いじゃん!?」

うるせぇ!!!! なんでまだ追いかけてくんだよ!!! 本庁居づらくしてやろうか!?!?

「助けて!!」

数人の警察官が振り向く。

「あっちょっまっちが!!」

「こら廊下走んな!」

丁度到着し開いていたエレベーターに飛び乗る。

「階段戻んぞ!」

途中で降りて反対側の階段から降りよう。
呼吸を整え、2階で降り、昔使った裏口から抜け出る。

そのまま裏門へ向かい背後を確認しつつ塀沿い移動する。
が、

「あ」

と声が正面から聞こえた。松田さんの声。

「ゲッ……!」

途端に踵を返し道を走る。
普段から皇くんに死ぬほど鍛錬されてんだ!ナメんな!!!

「萩! 居たぞ!」

「呼ぶな!!!! 頼むから呼ぶな!!!」

必死に角を曲がりまくり、頭の中に近辺のマップを考える。
今いくつ角曲がった? 5? 6?
児童公園が見えたことから現在地を割り出す。
地元にまで出れば撒ける自信がある。
しかしここで挟み撃ちにされると厄介だ。

後ろからは松田さんと萩原さんが走ってきている。
はっや!!!!! え、これはっや!!!!!

「なんも怖いことないよー!」

もはやその言葉が怖いな!!!
追いつかれないよう、また幾度も角を駆使して確実に米花町へ近づく。

きっつい! しぶといな! さすが機動隊! 体力には自信あるってかぁ!? うるせぇ!!!!! 黙れ!!!!
回り込まれないように考え、複雑な道が多いところを選び走る。

ようやく杯戸町に入ったところでペースを上げた。

「ややこしいとこばっかり走ってやがんな……」

「このへんの地理に詳しいらしいな……
さっすが〜」

「お前追っかける気あんのか」

「あるに決まってんだろ」

米花町に近づく。
角を曲がり路地裏へ体を滑り込ませる。
通路は狭く、とても成人男性は走れない。
それにこの路地裏は隠れた通路が多岐に渡り迷路のように伸びているし、なにより

バンッ

と扉を蹴り開けた。


「!? ってどうしたお前……」

飛び込んだのは喫茶ポオの裏口。
カウンター内には皇くんが立っていた。

そう。ここは自宅から徒歩15分ほどの入り組んだ路地と大通りが並び立つ、表と裏が背中合わせに存在する地区。

ワケアリの人間やそれをカモにする犯罪者、非日常に憧れる学生と、通りの数だけ多岐にわたる人間が闊歩する。

「ねぇ、ここに、私を探しに来る人とか来たら、うまく誤魔化して、匿って……」

息は切れ切れ。
膝はがくつき、とても立っていられず椅子に腰掛けた。

「お前今度は何したんだ?」

「何もしてないよ!! なんでみんなそんなこと言うわけ!?」

皇くんの一言に噛み付く。

「あーそう、わーったよしゃあねぇな」

と水をおき、店に戻って行った。
って客いねぇじゃん!!

「うるっせぇ!!!」

口から出てたわ。

───────

「あれ!? 陣平ちゃん!?」

「萩……お前も見てねぇのか」

「ここ入り組みすぎてどっから出たかもわかんねぇな……」

散々走らされた挙句、逃げ込まれた路地裏。
そこは入り組み地元の人間でなければ表に出るのも難しい。

「お手上げだな」

「あぁ。近くの店に聞き込みだな」


───────

カランカランッ

「しゃっせー……2名で?」

「ちょっと聞きたいんだけど、ここに中学生くらいの女の子来ませんでした?」

「さぁ? 今日は飯時から客きてないんで。
飯時ならこの辺今テスト期間で10組くらい中坊来ましたけどね」

2人で来たらしく、萩原さんの声が聞こえる。
ありがとう皇くん。

「そっすか。わっかりました
すいません忙しいところ」

「いーや暇してたんで」

カランカラン

と音がして扉が再度閉まる。

「ありがとー」

「まだ顔出すなよ。近くにいるかもしんねぇんだから」

普通にしながら話す。

なんでほんとこの人結婚出来ないんだろ。
今35? そろそろヤバめじゃね?

「殺すぞ」

「ごめん!!!!」

どうやらふたりが離れたのを確認出来たらしい。

「おらもう出ていいぞ」

「ありがと!」

確かに外には誰もおらず、安心して家へ帰りました!

─────────

「見つかんねぇ……!」

「ってかそもそもなんで本庁に居たんだ?」

「……それだ!!!」


必死に走っていた少女を脳裏に思い浮かべ、心でご愁傷様、とめんどくさい幼なじみに目をつけられたことを憐れむ松田であった。


神様アンタどっちの味方だ!

自宅までは発見されないだろう。

あー疲れた。

なんて、後日めんどくさい事が起こるとは、今の私には知る由もなかった。

*

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