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海と出会いとさざ波と



「海だー!!」

先日、新一の元へ届いた怪盗1412の暗号。
その際に優作くんがヒントのために言った
『海にでも行こうか』
ということを言質をとり、原稿中の優作くんはホテルにいて良いから、と海に連れてきたゆきちゃん。

蘭ちゃんは浮き輪を持ち、新一はあちこちを走り回る。

私はと言うと……


「っぷは」


と顔を上げる。
海をバタフライで泳いでいたところだ。
え? 似合わないって?
海にバタフライホント合わないからやめた方がいいよ!


「みぃちゃーん!
お昼食べましょー!」


ゆきちゃんが浜辺から私に声をかける。
あんた元女優なんだからやめなさいってば……


「おっけー!!」

ザブザブと浜辺に向かい、新一、蘭ちゃん、ゆきちゃんと海の家へ向かう。


「何食べる?」

「海と言ったらラーメンでしょ」

「カレーも捨て難いわよ〜」

「俺ラーメン」

「あったしもー」

「私カレーにする!」

「じゃあ私もカレーにしましょ!
すいませーん!」


手を挙げて店員を呼ぶ。
いやだから、あんた元女優なんだからやめなさいってば……!


「はーい!」

「カレーとラーメン二つずつ!」

「かしこまりましたー!
カレーとラーメン2ずつー」

「はいよー」

「午後は何する?」

「ビーチバレーしたーい」

「やだよめんどくせぇ」

と、次に何するか話し合っているとカレーとラーメンが運ばれてくる。


「おまちー!」

「おいしそー!」

「海の家のラーメンってなんでうまいんだろうか?」

「体冷えてるからじゃねぇか?」

「そんな現実主義な答えいらないから新一黙って」

「聞いたのみお姉だろ!」


と話していたからか、ゆきちゃんは早々に食べ終わり、


「飲み物補充するから食べ終わったら一回戻ってきなさいねー!
みぃちゃんこの子達よろしくね!」

「はいよ〜」


と片手をあげると去っていった。
すると隣から


「おい! 焼きそばにハエ入ってんぞ!」

「うわっ! もう食っちまったよ!」

「金返せよ!」

「えっ、も、申し訳ございません……!」


とテンプレみたいなことが起こっていた。


「オメー自分でハエ入れただろ」

「ちょっと……」

「新一……ったく……」

「あぁ? んだとこのガキ! 証拠あんのかよ!」


と、凄むみ、新一に手を伸ばす。
仕方がない。

バシッ

「私の大事な従兄弟、汚い手で触んないでくんない?」


ほんと、クズは見ていて吐き気がする。


「んだとこのガキ!」


後ろの男がこちらに拳を振り上げた。
素人相手に手を出せばこちらが悪くなるんだろうけど、まぁ、今回は見逃してくれるだろ。

男の手のひらを引き寄せ相手の頬へ肘鉄を入れる。

「ガッ!?」

「てめぇ!」


「わ、私、見ました……」

と隣の席の女性が手を挙げた。

「なっ……!」

「目撃証言と、」

「よう兄ちゃん。ハエが入ってたって?」


うわっ……
厨房からグラサンをかけたスキンヘッドのガタイマックス、タンクトップのおっさんが出てきた。ココヤクザん所だったのか……


「ひっ、ひぃっす、すんませんでした……!
入ってませんでした……!」

「へぇ……そいつぁ良かった」

「は、ははっ……!」


と男達は早々に立ち去った。


「よく言ってくれたな坊主! それに嬢ちゃんもつええな!
お礼にこっちは奢りだ!」

「マジで!?
サンキューおじさん!」


ヒュー!!
新一もやるぅ!

とまぁ腹八分目に収めておき、海の家を出ると新一がだだっと走り出した。


「あっこら新一!」

「バレバレだよ!
お兄さんの正体がピエロだってことはな!!」


ギャーーー!!!!
赤井さんんんんんん!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!? なんで日本にいんの!?!?!?
やめろ新一!!!!!!!!!!!
その人ピエロじゃねーーーーから!!!!!!!!!!!

「ちょっなにいってんの新一……?」


頼む!!!! 辞めてくれ!!!!


「だってよぉみお姉!
お兄さんの話聞いてたらいろんな国をいーっぱい回ってるんでしょ?
そんな人はボクが知る限りサーカスの人しかいない!」


お前が知る限りはな!!!

「それにお兄さんの左手を見てピーンときたよ!
その左手の手首の甲のほうについたあざを見てね……」

「まぁた探偵ごっこが始まった……」

「それはアコーディオンっていう楽器を使う人によくできるアザ……空気を出し入れしながらボタンを押すからベルトでそこにあざができるって父さんが言ってたし……サーカスのショーの途中によくピエロがアコーディオン弾いてるし……
それにそれにサーカスにはクラウンって道化師がいっぱいいるけど、その中でも縦に筋を入れて涙の化粧をするのはピエロだけ!

お兄さんの左目にもその涙の化粧の跡が残ってるじゃない!
多分早くこの海で遊びたくて慌てて消し忘れたんだろうけど僕の目はごまかせない!
お兄さんはピエロだ!! 違いますか!?」


よく喋るなほんと!!!!!!
誰譲りだ!? 親譲りか!! ごめんな!!

「フ……ハハハハハハハハ!!」


赤井さんメッッチャ笑ってるううう!!!!!!!!!!!


「違うわよ新一
その理論じゃ旅行好きや仕事で各国を回る人も全てがサーカス団員になるでしょう?
それに、その人の目のは化粧の跡じゃなくて多分アザ。
怪我でもしたんじゃない?」


「あーー、そっか!」


「その嬢ちゃんの言う通りだ
たしかに俺は三つの国を渡っているが、サーカス団員じゃない
このアコーディオンのアザに気付いたのは良かったが、酒場で客にリクエストされた曲を伴奏する時に出来たあざだ
左目のこれはさっき乱暴な母につけられたアザ…君達は何者なんだい?」

やめろ、その質問を今の新一にすんな。
めんどくさいから。

「工藤新一!
シャ、シャーロック・ホームズの弟子だ!」


「ホォー、嬢ちゃんは?」


「……白樫美音
しがない小学6年生デスよ」


すると

「あー新一こんな所にいたー!
急に走り出さないでよ!」

「蘭!」

「あっ蘭ちゃん」

「またホームズゴッコしてたんでしょー?」

「ゴッコじゃねーよ! 名探偵になるための修行だ!」

「でも程々にしとかないとそのうちひどい目にあうよ!
さっきだって美音お姉ちゃんがいたから良かったけど危なかったんだから!」

ガシッ

「っ!」

後ろから首を掴まれる。
さっきのやつかな???

「やっと見つけたぞクソガ──!?」

少し高い位置、多分身長的には皇くんとそんなに変わらないから、いつも通りに、

グンッと相手の頭を掴み横に捻る。
そのままこめかみに力を加え、下に相手の顔を向けると同時に向かわせた膝を相手の鼻に入れる。

「ガァッ!?」

「正当防衛よねぇ?
弱いくせにわざわざご苦労さま」


転けた男を見下ろす。
この時が一番最高に楽しい!!
油断してた男は屈んでいる体制からは力が入らず動けないことが多々ある。

「へっそっちのガキは強くても──!?」

ビュッと風を切る音とともに男の眼前には赤井さんの指先があった。

「悪いがこの嬢ちゃんたちは俺の連れでね……
ボウヤや嬢ちゃんに話があるのなら俺を通してからにしてくれ……
まぁ、両目を抉られたあとでいいならいくらでも話を聞くぞ……」


青ざめる男はほかの男達を連れて逃げていった。


「すごーい! 今の技って何?」

蘭ちゃんが赤井さんに聞く。

「フィンガージャブ!
日本でいう目潰しだ……
截拳道の技の一つだよ。

それよりも、俺は嬢ちゃんに聞きたい
さっきのはクラヴマガだな?」


あークラヴマガってFBIやら警察でも導入されてんだっけ?


「そうだよ。
知り合いに教えて貰ってんの。
最強の護身術としてね」

まってやっべ私今あの赤井秀一と喋ってるよな!?!?!?
ふぁーーーー!!!!!!!!!!!
って待ってこれ割と新しい巻でこの話見た気がする!!!! 確か、真純ちゃんが〜とかのやつ!!!! あーーーーー赤井さんやっぱりイケメンだな!?!?!?


「ホォー、
是非ともその知り合いともお手合わせ願いたいな
そうだ、ボウヤたち!
スマンが妹の相手をしてやってくれないか?
どうやら妹は友達が欲しいらしい……」

「いいけど……」

「年長者として見てろってことかな……」

「つまるところはな」


あれ?たしかこの後……


キキーーーッガンッ


とけたたましい音を立て崖から車が海へ落ちた。


ザッパァン


「ゲッ……」


海と出会いとさざ波と

こんの事件ホイホイ!!
幼少期はそんなにだと思ってたのに!!!!
いや、むしろ事件ホイホイなのは赤井さんの方なのか……?

*

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