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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
狭間で見る天気雨



まだ渡さないように、と白い封筒3つが家の机の上に並べられてしばらくが経った。
現状として、性懲りも無く目暮警部は私に連絡してくるし、ゆきちゃんや優作パッパは拠点を移動させ、工藤家は私と新一の二人暮らし。
白樫家の方は諸伏さんが住んでいるが、極力出ないようにしているらしい。
どこかで見られるかもしれないし、1回適当に父方の遠い親戚、ということにしておくのもアリかもしれない。

ゆきちゃんに変装メイクでも教わるか?

なんて考えながら目暮警部に呼び出された現場に向かえば、いつも居るはずの松田さんも萩原さんも、それに伊達さんまで今日はいないようだった。

「あれ?
佐藤刑事、今日は爆処理は?」

「あぁ、松田くんと萩原くん?
今日急に休み取ったのよね。あと伊達くんも。
慌ててたみたいだけど……」

「……ふぅん」

もしかして《知った》のかな。
でも“あの”降谷零が言うのか?
いや、でも松田さんや萩原さん、伊達さんは警察学校の同期。
それも中々に縁がある5人だったらしいから伝えててもおかしくはない……か?

「それじゃあおじゃま虫もいないってぇ事で、ササッと解決しちゃいやしょうかねぇい」

「なんでそんなに歌舞伎なの? どうしたの?」

引いたような目でこちらを見る佐藤刑事にははっと笑いを返して状況証拠と物的証拠を並べて

「詳しいことは署で聞こう」

と目暮警部が言う。
この一連の流れ、いつ新一にバトンタッチできるんだろう?
小五郎くんも今じゃあ私立探偵(捜査はできないし推理もダメ)
だし、英理ちゃんは数年前に出てっちゃって今や法廷の女王……なバリキャリの弁護士。
あれ? そろそろバトンタッチしても良くない?
次頼まれた時代わりに行かすか……? 初回はでも一緒にいた方がいいか〜……なんて考えつつ工藤邸でない自宅へ帰る。
念の為、松田さん達が知ったかもってことは伝えておこうと思ってね。

そう思ったのにさ。

「松田さん? に、萩原さん」

門前には仕事を休んだ二人。
もしかすると伊達さんも彼女……もう付き合ってるっけ……まぁいいや、そっちにいるのかも。

「どうしたの? 仕事休んでうちにまで。
私さっきまでおたくの職場にいたんだけど〜ってか、うち改装するから暫く来ないでって言ったじゃーん。
とりあえず、工藤邸の方行こ」

ごめん。
まだ言えない。

無言で歩き出した私の後ろを歩く2人。
松田さんは絶対にサングラスをずらさないようにして咥えタバコ。
萩原さんは何を考えてるか分からないような、珍しい程の無表情。

諸伏景光が死んだんだと、聞いたと直感した。

狭間で見る天気雨

泣ける時に泣かないとさ、人間保たないよ。
顔はしっかり泣いてるのにね。

*

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