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「レヴァナ様、レヴァナ様!たかがあれしきの事で皇帝権限を使ったとはどういう事ですか!」
「……」
「レヴァナ様、ちゃんと私めの目を見てください!」
「……ふん…げじ眉めが………」
「なっ…」

古老にもナメた口の聞き方をするのがレヴァナである

今はこんな口の聞き方をしているが、昔は相当懐いていた
今はどうだか知らないが

「ガレス、腹が減った」
「それは私めではなく侍女に言い付けてください!」
「……腹が減った。フィッシュ…&チップス」

ガマスはため息吐いて間から出てった

「………」

"わーい、魚釣れたー"
"これは鮭ですね…お上手でした"
"ワタシから見れば下手っぴ"
"こらダベラス"
"むー…ダベラスにはあげなーい"
"要りませんよ"
"ガレスにもあげなーい。セルジオにあげるー"
"え…俺?有り難うございます"

「……」

懐かしい
だが懐かしいから怖い。自分の中で血が騒いでいる。いつか自分ではなくなってしまうことが怖い

昔とは違う。昔に戻りたい
ちゃんとした人間だった頃に

怖い、苦しい
怖い、自分が怖い
何故目の色、髪の色、爪の色が変わってゆく?

普通では有り得ない。有り得ないはずなんだ
父の血が怖い。異形の血が
いつか皆を殺してしまいそうで怖い
一人だけ違くて人間ではない。皆と違うことが怖い。出来ることならば

「…皆と一緒がいい……」

位なんかほっぽらかして庶民になりたい

「レヴァナ様…私めが貴方の苦しみを癒しましょうぞ」

一人の男が言った

来るな、来るな

よく分からないけど自分がその男に臆しているのは何となく分かった
右半分の火傷の痕がズキズキと痛む

「何も考えますな」

老婆の指が自分の額に触れる
魔法陳が現れる

自分の気持ちが楽になるのが分かる
それと同時に何かを失ってゆく
大切な何かを

よく分からない。でも生き物ならきっと持っているものだろう
ああ、分からない

もう考える事はやめよう
そうすれば楽になれる
恐怖に身を委ねれば楽になれる

……逃げてしまおう、現実から


その時、レヴァナの目から光が消えた

「失礼致します。……クヒヒ…」


                End

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