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「いやぁ……なんというかすんません。アタシも襲うのは不本意ってゆーかなんとゆーか…命令で仕方なくてぇアッハッハッ」
「殺す気満々だったよね」
「アタシはこの指輪と墓を守るために作られたガーディアン的なやつで、盗りに来た奴は問答無用で殺せって命令されてましてアッハッハッ」
「私情に走ってたよね」
「そんなことありませんよ〜ダンナ〜」
「ダンナ?」
「アタシ、ダンナに惚れました!一生ダンナについて来ます!ダンナを襲う者は一刀両断する所存です(キリッ」
何か変な奴に懐かれた気分
何つーか何で俺こういう役割なんだろう
あれだよね、ドンマイ要員だもん
絶対
人間じゃないのに惚れられても嬉しくないよ
「フッフッフッー」
顔が怖い、顔が怖い
結局なんやかんやでこいつがついて来た
名前はガーゴイルのピグマリオンと言うらしい
ガーゴイルのくせして家事をやってくれるから助かるけれどもやっぱり何か嫌だ
面白い奴なんだけれども
「へぇ…で、その命令とやらはどうなったんだ」
「ぶっちゃけ主死んでるんで命令向こうじゃね?って事で自由気ままにやってまさー。それにしてもお兄さん、良い靴履いてますね〜」
「ふっ…それは高級ブランドの」
「はいはい、それはどうでもいいから」
「どうでもよくない!」
「で、その腕どうしたん?」
アレストはセルジオの腕を見遣る
包帯を厚めに巻きギプスをしている
珍しい事もあるものだと思った
セルジオは一瞬考えてから言った
「……出来心で崖からバンジージャンプしたら着地に失敗した」
「いやいや、もっとマシな嘘つけよ」
「……じゃあ、バーベルが腕に落ちた」
「じゃあって何だよ!」
「……ふん」
「どーせお前の事だから闘技場でスリル味わってんだろ」
「当たり前だろう。普通にやったら一秒も掛からずに終わる」
「お兄さん強いんですねー」
ピグマリオンは感心する
わざわざ危険を冒してまで境地に立って楽しもうとする人間はなかなか居ない
それに実力者でもやる者は少ないだろう
ただピグマリオンの勘ではセルジオは相当強い、そう思った
巧妙に隠してはいるが完全に隠し切れていない
何と無くそう感じる
そんでもって絶対こいつ良いもん食ってない
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