1-3


「いだい、いだいいだい。わざと踏まないで!」
「えっ……」
「いやいや、何ナチュラルにわざとじゃないよ顔してんだよ。絶対わざとだろ」
「そんな……足場が悪くてやむを得ず踏んでしまっただけなのにそこまで言わなくたっていいじゃないですか……」

泣きまねをする
それも超巧妙な

俺、この人がガチで泣いている所見たことないよ
だってこの人、人を踏みにじってケタケタ笑っている大魔王だもん

泣きまねが段々笑いに変わっていく気がした

「クックックックックックックッ」
「……」
「アーッハッハッハッハッハッ」
「何がそんなに面白いんですか」
「いやぁね……後から魔物が来ているのに気付かないってそれでも一流ハンターなんですかねぇ……」
「………え?」

石像のようなものが手を振り上げる
腰を抜かして動けずにいた
ダベラスは石像の攻撃範囲に居るというのに動こうともしない

どうするつもりなのか
手が勢い良く下げられた

「ちょ………」
「クックックックッ……脆い人形だなぁ…」

石像が突然砕け散った
動いてもないのに石像が突然砕け散った

彼の言葉に反応したかのようだった

彼は立ち上がり奥へと進む
俺もそれに続く

一番奥に辿り着くと、そこの中央に墓があり赤い宝石が埋め込まれていた

「……まさかあれは………!」

墓に駆け寄る
それは予想通り、マナの指輪だった

見る方向によって色が変わり、特殊な能力を持った宝石
噂によると神様が宿っているとか……

それを取る
やはりこれはマナの指輪だった

「見付けたぁぁぁ」
「よかったですねー。ちぇっ…此処じゃないのか…」
「…?」
「……返せ…………」
「ダベラスさん何か言いました?」
「言ってませんよ」
「……返せ…………」
「ほらまた」
「……返せ……その指輪を返せぇぇぇぇぇ!」
「!」


何か…色々と見てはいけないような何かが襲い掛かってきた

「別に見てはいけないようなもんはないわ!!」
「ぇー……だってねぇ……」
「色々とねぇ……」
「誤解を招くような言い回しすんな!えぇい、消し炭にしてやる!」

踊るように魔法弾みたいなのを散らして爆発させる
相変わらずダベラスは楽しんでいるけれども俺はそれどころではなかった

「何で俺ばっかりぃぃぃぃ」
「私を侮辱したのが悪い。キャハハハ!」
「ダベラスさん助けっ……助けてくださっい!」
「あ、スタールビーみーっけ」

- 7 -


[*前] | [次#]
ページ:




第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -