こねた | ナノ


黄色捜索願(青黄/※死ネタ)




ピピピ、と可愛らしくも大音量で響くそれを、青峰は片手で叩く。
未だ覚醒しきっていない目を擦り、むっくりと体を起こし、先程止めた目覚まし時計に目をやった。時刻は7時24分。大学の講義は午後からだ。

「…んだよ、まだ寝れんじゃん…」

ふああ、と欠伸を零し、またのそのそと布団に潜り込む。
そこで、ふと青峰は違和感を感じた。いつも傍にあったものが無いような、大事なものを忘れているような。


そこで、青峰はその違和感の正体に気付いた。


―――青峰っち!ちょ、さっき起きてたのにまた二度寝っスか!?


いつもいつも飽きもせずに大声を張り上げて耳元で叫ぶ、その声が無かった。




「……き、せ…」

ぽつり、零れた言葉は自分でも驚くくらいに掠れていて、震えていた。

家の何処に居ても必ず視線の隅に存在していた眩しい黄色も、今は無い。
時にはボールを、別の日にはしゃもじを、別の日には洗濯籠を持って青峰を起こしに来る彼は、もう何処にも存在していなかった。

自然に頬に涙が伝うのを拭わずに、嗚咽すらも喉の奥に押し込んで、心の底からの声を絞り出す。

「…きせ、なんで……んで、いねえんだよ…っ」

握り締め皺の寄った布団に、ぱたりと滴が落ちた。



世界からあなたの色だけが消えて

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青黄の死ネタ、黄瀬君が行っちゃった編
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2012/12/20 22:22

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