こねた | ナノ


教えてあげる(赤黄/30000打お礼)



設定:学校内でも指折りの人気を誇る赤司征十郎先生と、イケメンだけど学力の学年最下位争いを続けている黄瀬涼太。高校二年で赤司のクラスになった黄瀬は、ことごとくテストで赤点を取り続けてしまい、居残り学習をさせられる事になった。




「あああ、もう!わかんねっス!」

黄瀬涼太が一人、部活にも行かずしーんとした教室で勉強をしているのには、理由がある。理由も無くそんな事をしていれば、周りから黄瀬は一体どうしたんだと心配されるレベルだ。

ダンッ、とプリントの広げられた机を叩く。乗っていた消しゴムのカスがぱらりと舞い、それらを全てに下に落としてから、黄瀬は机の上に突っ伏した。



「―――涼太、きちんと勉強して…………」

がらがら、と音を立ててドアが開き、教室内に一人の教師がやって来た。
赤司は言葉を止め、教室内のその光景を見てから瞳をすっと細めて、後ろ手でドアを閉める。

「……涼太」

再び静寂の訪れた教室に、赤司が歩く音が響いた。
思い切り眠ってしまっている黄瀬の机の前に立ち、仁王立ちでそれを見詰める。名前を呼んでも安眠から目覚める事の無い黄瀬に、赤司は持っていた教科書で思い切り黄瀬の頭を叩いた。
バシリ、と重い音が響く。

「いッ…たぁっ…!」
「おはよう、涼太。さて、今まで何分寝てたんだ?」

黄瀬が後頭部を押えながらゆっくりと顔を上げれば、其処にはにっこりと微笑む赤司の姿があった。赤司の笑みにどす黒い何かが纏われている事に気が付き、黄瀬の眠気は一気に飛び、黄瀬の顔から血の気が引いていく。

「あ……赤司センセイ…」
「言い訳があるなら、今のうちに言っておけ」
「……無い、です」

黄瀬が上体を起こした事により、机の上にあったプリントが赤司の目前に晒される。名前と申し訳程度の回答しか記されていないその紙切れに、赤司の表情から笑みが消えた。

「…涼太……、この僕の作った問題を解いてないのか…?」
「ひっ…ご、ごめんなさ、」
「……言う事を聞かない子供には、お仕置きが必要か」
「…え?」

目の前に居る魔王のような存在に既に半泣きになっている黄瀬は、情けない声を上げながら謝罪を述べた。しかし赤司はそんな黄瀬に構わず、相手のネクタイを掴めば力任せに此方に引っ張った。
無防備に開いた口にそのまま自らのそれを重ね合わせ、熱い口内に舌を入れる。んぐっとくぐもった声が聞こえるが、その声ごと貪るようにして舌を絡ませた。

暫くしてから口を離せば、ガタガタと音を立てて椅子ごと後ろに後退りした黄瀬が、顔を真っ赤にしながら口を手の甲で覆っているのが見えた。さっきまで半泣きで潤んでいた瞳からは、遂に涙が零れていた。

「なっ、なな、なんで…っ!?」
「言っただろう?お仕置きだって」

ぺろりと自らの唇を舐めた赤司は、つい先程出来た黄瀬との距離を簡単に縮め、椅子に座っている黄瀬を机の上に押し倒してから、すっと目を細めた。

「っ…!」
「勝手に席を動かすなんて感心しないな。誰に許可を取ったんだ?」
「……あ、あの、赤司センセイ、ちょっとタイム」
「タイムアウトだ。猶予は30分あった筈だが」

死刑宣告が言い渡され、黄瀬の顔がひくりと引き攣った。



次の定期考査にて、黄瀬涼太は、入学して初めて赤点を回避したそうだ。


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高校に入学してスれそうになってた黄瀬君は赤司先生と出会って軌道修正します
この高校に他のキセキも教師として在中しててキセ黄展開でもおいしいです
↓おまけ


「ほんっとてめえ学習能力ねえな!」
「この前教えたばかりなのだよ。もう忘れたのか?家での復習は当たり前だろう?」
「黄瀬ちんって馬鹿だよねー。っていうか天然なの?」
「黄瀬君、いいですか?此処は登場人物の心情をより分かる事が大切で…」

「此処の高校、怖い先生ばっかなんスよ!!」
「…おまえも結構大変だな、……とりあえず勉強しろよ」
「うう…火神っちも頭悪いくせに…」
「うっせーなオレの事はいいんだよ!……お互い、頑張ろーぜ」
「……うん」

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2012/10/06 23:26

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