和泉は勘ちゃんの彼女。
とうとう俺の想いが彼女に伝わることはなかった。
静かに、だけどボロボロと大粒の涙を溢す勘ちゃんは、ようやく彼女の死を受け入れることができたのだと思う。
勘ちゃんのそんな姿に、俺は心の奥にしまいこんでいた想いが零れ出てしまいそうになった。
最後まで彼女の最愛の人は、俺の目の前にいる、この友人だったのだから。
勘ちゃん、俺は君が羨ましい。
なんてことは口が裂けても言えないのだけれど。
勘ちゃんと彼女が付き合い出したと知った時、俺の荒み様といったらなかった。
だけど、幸せそうな二人の姿が、俺が気持ちをしまうことを後押ししてくれた。
そうして心の扉をパタンと閉めた俺。
いつかこの気持ちが、時を経て消え去ってくれるよう願いながら。
だけど、そう簡単にはいかなかったみたいだ。
断言できる。
彼女は俺の初恋の人でおそらく最後の人。
彼女は大切な友人。そして、淡い思い出の人。それで済ませたらどれだけ楽なのだろうと思う。
俺が気持ちを隠して幾数年、彼女に並ぶ女は現れなかった。
助けて。
心が何度目になるかわからない叫びをあげる。
来世があるとするならば、俺にチャンスはありますか?
そんなことを考える俺は友人失格でしょうか。
( 追悼 )
勘ちゃん、俺も泣きたいよ。
20111022