ミスJより鈍感な貴方へ
※ ルックアットミーの続編?
ジュンコ視点
「ジュンコ、さっきの話聞いたかい?なし子が…、なし子が僕のことを好きだって。」
顔を真っ赤にした孫兵君は、私に向かってそう捲し立てた。
なし子ちゃんの気持ちには勿論気付いていたわ。孫兵君がなし子ちゃんのことが気になってることだって。
ふふん、私は勘が鋭い女なの。
「ねぇ、ジュンコ。僕、すごくドキドキするんだ。こんなに心臓が五月蝿いのは、君と初めて会った時以来だよ。」
だなんて、もう孫兵君ったらどうしようもないプレイボーイね。
「僕は君のことが好きなんだ。君さえ傍にいてくれればいいはずなのに、」
そこで孫兵君は言葉を詰まらせる。
孫兵君、私だって孫兵君のことが大好きよ。たまに意地悪したくなっちゃって、貴方に黙って散歩に出かけることもあるけれど。
「何だかなし子は特別なんだ。」
その声はとても小さくて、私は孫兵君がこうなるだなんて相当ね、と呟いた。…まあ、人間にしてみたらただのシュー、シューって舌を巻く音にしか聞こえないのだろうけれど、孫兵君は特別。
ジュンコは大人だね、といつものように私を撫でるの。
孫兵君、さっきなし子ちゃんもそうやって私を撫でてくれたわ。
それで私に向かって綺麗だって言ってくれたの。
孫兵君みたいにね、心の底からの言葉よ。
それには女の嫉妬とやらも見え隠れしていたのだけれど。
「ジュンコ、僕はどうしたらいいんだろう?」
孫兵君がそう尋ねてきたけれど、私はちょっぴりいつもの意地悪、知らん顔。
貴方もすぐに気付くわ。
きっとそれは恋心。
201111111