とある不運な少女の話。
突然だけど私は死んだ。
正確にいえば殺されたんだけど。
私はなんの問題もない平凡な人生を送っていたはずだ。
いや、ひとつだけはまっていたものがある。
人気少年漫画の【テニスの王子様】だ。
みんなキャラがかっこいいからミーハーな私はすぐにはまった。
トリップとか夢みたいなことを願って生きていたただの高校生だ。
そんな私がどうして殺されたたのか、なぜ私なのか。
あの日はちょうどいつも帰る友達が休みだった。
私の家は学校から結構離れたところにあり学校帰りはあまり人が通らない道を帰っていた。
一人で帰るには余りにも心細かったから仕方なく同じ方向の黒沼さんと帰った。
黒沼さんとははっきりいって余りよろしくしたくなかった。
いつもぶつぶつ一人でいいなにかと睨まれていたからだ。
もちろんそんな黒沼さんと会話なんてなく無言のままいつもより歩くペースを速くした。
なにか嫌な予感がしたからだ。
すると少し離れて歩いていた黒沼さんに急に呼び止められた。
「ねぇ、水月さん…なんであなたなの…」
いっている意味がわからなかった。
「え…?どうゆうい…」
ザクッ
言葉を遮るように何かに刺さるような嫌な音が聞こえると同時に私の腹部に言葉にできない痛みが走った。
ゆっくりと腹部を見てみると…
真っ赤に染まった服と包丁が…
息が浅くなって呼吸がしづらくなってきた。
「ど…して…」
「あなたがいけないのよ…どうしてあの子はあなたのことが好きなの…どうして私じゃないの!!!」
「そ、んな…こと…」
私に言われたって知らないわよ…。
そこで私の意識は途絶えた。
「私を好きにならないあの子もあの子の好きなこの子もみんないらないの。いならいものは壊 し ち ゃ え !!……あは、あははは、あははははは!!!!」
こうして私は殺された。
まだやりたいことはたくさんあったのに…もうこうなったらどうでもいい。
どうせ死ぬなら…
あぁ神様。
もしいるのであれば…
とある不運な少女の話。
(私をトリップさせてください)
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悪女主視点
20110108
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