馬鹿とか言ってごめんね
※高校生設定





『ねぇ跡部』

「あーん?」

『もしさ、もしだよ…』

「なんだよ」

『私がさ…跡部と一緒にいられなくなったらさ…どうする?』














私と跡部は生まれたときからずっと一緒だった。

親同士が仲良くて所詮幼なじみと言うやつだ。

自分で言うのもなんだけど家は跡部の家ほどではないにしろ普通の家よりは裕福だ。

跡部がイギリスの小学校に通ってたときも流石に会うことはできなかったけど手紙のやり取りはしていた。

そうして月日がたつにつれて好意を持った。

けどね…


こんなことになるならこんな気持ち持つんじゃなかった…














『政略…結婚ですか…?』

「そうよ、ちょっと最近会社(うち)うまくいかなくてね…このままだと赤字なのよ。それを**財閥の社長さんに話したらそちらの娘さんがうちの息子と結婚するならうちが援助しましょうって言ってくれてね」

母から言われた言葉に頭が真っ白になった。

好きでもない相手と結婚するなんて

『あ、跡部の所は…?跡部のとこじゃ駄目なんですか!?』

家族ぐるみで仲のいい跡部なら…!


「跡部さん家を巻き込みたくないの…あなたもでしょ名前?ごめんなさい…でもわかって、これしか…方法はないの」

なにも言えなかった。


それからはよく覚えてなかった。
けど乾いた喉と濡れた瞳に泣いたんだと思う

神様の馬鹿。

どうしてこうなるの。

八つ当たりしてもなにも変わらないことはわかってるけどどうすればいいのかわからなかった。




婚約は高校を卒業したらという約束になった。

つまりあと2ヶ月――






そして今日、私は跡部に伝える。









――――――


『私がさ…跡部と一緒にいられなくなったらさ…どうする?』


話があると呼び出され、言われた言葉に“こいつはなにをいっているんだ”と思った。

言い返そうとしたが名前の顔があまりにも悲しく笑うもんだから言い返せなかった。

「なにがあった」

昔からこいつは嘘が下手だった。
そして嘘をつくときは必ず悲しそうな顔をして笑う。
俺はその笑顔が嫌いだった。

『な、なにもないよ「なにがあった」…やっぱり敵わないね跡部には』


観念したのか名前は政略結婚や家の状況、その他に今までのことを話した。


「……」

話を聞き終えた俺はとりあえず自分の知らない間に名前の家がこんなことになっていたことに驚いた。

『だからね…もう跡部とはいれないんだ、でも心配しないで!相手の人も少し年が離れてるけど優しい人だったから』

そう言って笑う名前の顔は“あの”顔だった。


なにが心配しないでだ、


そんな顔してるくせに

「…なんで俺様を頼らねぇんだよ」

『…ごめんね、迷惑かけたくなかったの』

「いつ誰が迷惑だっつった!」

『でも、しょうがないのよ!こうするしかッ!』

下を向いていた名前はばっと顔をあげ俺様の顔を見て目に涙をためながら叫んだ。

「…おい、相手の会社名なんだ」

『たしか**財閥だったような』
「(**財閥…?確かあそこの息子は女遊びが激しいって噂だったな)」


なおさらそんなところに行かせられるかよ。

だったら―――



「おい名前、お前、





―――――俺様に嫁げ」



『…え?ちょっ…はぁ!?なんで!』


「んなとこになんか行かせるかよ、お前は俺様の隣で一生笑顔でいればいいんだよ。もちろん苗字財閥も支援する…お前の答えはどうだ」

――まぁ答えなんてわかりきってるけどな。

呟いた言葉は名前には気づかれなかった。



名前は大きな瞳にに涙をためて顔を真っ赤にしながら、


『…はい、喜んでッ――』

「っ――!!」

といい俺様に飛びついてきた。いきなりの行動に驚くがテニスをしていて鍛えてるのでよろけることはなかった。












『跡部、ありがとう―――大好きだよ』

「あぁ、名前―――“愛してるぜ”」

『ッ!!』

耳元で言ってやったらさらに顔を真っ赤にした。

そんなとこも全部愛しくてしょうがない。







―――――――





その後苗字財閥は跡部財閥の全面支援を受けて発売した商品は社会現象を起こしたとか。


そうだ、神様









馬鹿とか言ってごめんね
(私は今幸せいっぱいです)









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20120210



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