「霧野くんは、どうしてサッカー始めたの?」
「神童がやりたいって言ったから」
「霧野くんはサッカー好き?」
「ああ、神童がサッカー好きだからな」
「霧野くん霧野くん」
「ん?」
「それってサッカーが好きなんじゃなくて神童くんのことが好きなだけだよ」
「そうだな」
「それでいいの?」
「ああ。どこに問題があるんだ?」
「ないっちゃないけどあるっちゃありまくるよ」
「そうか?」
「……うん、まぁ、別にいいんだけど」
「ところでさ、」
「うん?」
「名字はサッカー好きなのか?」
「え?」
「いつも教室から練習見てるだろ」
「あ、バレてた?」
「バレバレだよ。皆言ってた」
「嘘」
「本当。で、好きなのか?」
「ううん、嫌い」
「じゃあ何でずっと見てるんだ?」
「霧野くんのことが好きだから」
「え?」
「霧野くんのことを見てるんだよ?」
「ふうん」
「だから、霧野くんと神童くんを繋げるサッカーは嫌いだったんだけど、どうやらそれは私の勘違いで、神童くんが霧野くんとサッカーを繋げてるだけのようだから、サッカーはどうでもいいし、神童くんは嫌い」
「……名字」
「霧野くんの想いに気づかない神童くんが嫌い。霧野くんが隣にいるのを当たり前に思ってる神童くんが嫌い。でもやっぱり、一番嫌いなのは、」
「嫌いなのは?」
「霧野くん」
「そうか」
「うん、そう」
「へえ」
「ほら、そうゆうとことか」
「こういうとこ?」
「神童くん以外には無関心」
「関心を持つ必要なんてないだろ」
「世界は神童くんを中心に回っているわけじゃないんだよ?」
「知ってるさ。俺の世界には神童しかいないんだから」
「じゃあ、霧野くんもいないんだ?」
「ああ」
「やっぱそうゆうとこ、嫌い」
「別にお前に嫌われても構わない」
「そうだよね」
「ああ」
「うん、知ってた」
―――――
蘭拓蘭は何パターンもあります。
特に霧野くんの神童くんへの想いって複雑そうで。
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