「……ごめん」
たった三文字で、私の一年余りの想いは砕け散った。別にそれは構わない。わかっていたことだから。
入学式の日、私は彼に一目惚れをした。桃色の長い髪を二つ縛りにして、女の子みたいで、だけどとても格好良かった。それからずっと、ただただ彼を見ていた。クラスの違う彼の姿を見ることができるのは放課後だけだった。私は毎日帰りの会が終わるとすぐに最上階にある図書室の窓際の席に座り、窓の外を眺めた。暫くするとサッカー棟から人が出てきて、後はひたすら桃色を目で追っていた。
だから気づいた。
彼が見ているのはボールではないことに。
「無駄だよ」
私が言えば綺麗な碧い瞳はさらに大きくなった。それでも彼は笑って、それでもいいんだと言った。私は四文字でも彼の想いを砕くことができなかったのだ。確かに彼の想いは私のそれよりもずっと長い間のものであったし、少なくとも普通ではなかった。
「だけど彼はもう君から離れていってしまったんだよ」
彼はやはり笑っていた。あいつが幸せならそれでいい、なんて。あぁ、なんだ。顔だけじゃなくて、結局、中身も女々しいのか。
――――――
イメージは
主→蘭→拓→天→←サッカー
だったり。
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