Chris | ナノ




クリスさんと別れて女子更衣室に行くともうすでにレベッカやジルさん、シェバさん、あとエクセラがスタンバイしていた。
あれ、エクセラもダディと出場するんだっけ…

「花子、やっと来たわね?」
「みんなで衣装クジ引きましょ。」

真っ黒な箱に一斉に手を突っ込んで折り畳まれた紙を引く。

「レベッカ、何が当たった?」
「私…ナース…」
「あ、似合うよ絶対!」
「えー…すごく恥ずかしいわ。」

2人ではしゃいでいるとジルさんがわたしの持っていた紙をひょいと取り上げてシェバさんと一緒にのぞき込んだ。あ、そう言えばわたし、まだ自分の紙見てない。
のぞき込んだお二方は読んだ瞬間に吹き出してわたしの頭を撫でた。何のことか分からなくて、首を傾げると紙を返された。

メイド。

真っ白で小さい紙の上にそんな3文字が踊っていた。

「花子大当たりね。」

エクセラが妖しい笑みを浮かべた。…この世の終わりが来たかと思った。何かの間違いだと思ってもう一度見ても非常な三文字は覆ることなく、むしろ残酷な現実としてわたしにのし掛かってきた。

振り向けばジルさんとシェバさんがメイド服を持って立っていた。

「あ、あの…」
「私、花子のメイド服見てみたいわ。」
「そうね、滅多に女の子っぽい格好しないものね。」

…シェバさんが持っているメイド服はなんだかわたしが知っているメイドの格好とは違っていた。スカートの丈がすごく短いのだ。こんなの着られないと思って異議申し立てをしようとした瞬間にジルさんがニッコリ笑った。

「諦めなさい。」

そう言った彼女の手に握られた紙には『バトルスーツ』、わたしの肩を掴んだシェバさんの手には『あかずきん』と書かれていた。

お二人ともきっとよく似合うだろうなあ、なんて思いながらため息を吐いた。




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