Chris | ナノ




鈍い痛みに目を開ければ真っ白な天井が広がっていた。鼻につく、けれど嫌いじゃない消毒薬の匂いからしてここは医務室だろう。ウェスカーに負けたのか俺は。

「あ、クリスさん。」
「花子…?う、」
「あ、まだ動かないでください。」

起き上がろうとした俺を花子が制す。大人しく従えばほっと溜め息が一つ返ってきた。

「試合、は。」
「クロスカウンターが入って、隊長の方が先に倒れました。クリスさんが勝ちました。お疲れさまでした。」

穏やかに彼女は笑う。信じられなくて見つめていると花子が隣のカーテンを開けた。隣のベッドにウェスカーがひどく不機嫌そうな様子で横たわっていた。

「隊長…」
「今回は俺の負けだ、クリス。だが次はないぞ。必ず俺が勝つ。」
「隊長、寝てなきゃ駄目ですよ。」
「花子、なぜいつものようにダディと呼んでくれない!?」
「職務中だしクリスさんが居るでしょ!」

もう寝ててください隊長!と花子はカーテンを力強く閉めてしまった。その様が可愛らしくてつい笑うと彼女は恥ずかしそうに下を向いた。

「マーセナリーズまであと3時間ほどありますからゆっくり眠ってください。」
「ああ、すまないな…」

言いながら目を閉じて意識を眠りの世界へと沈めた。くそ、この程度で…情けない。

「おやすみなさい、クリスさん。」






目を覚ますと時計は14時を差していた。マーセ開始まであと1時間。俺が眠っている間も花子はずっと横で居てくれたようで、目が合った。
起き上がっても体が痛まない。どうやら本調子に戻ったようだ。

「あと1時間あるから軽くウォーミングアップしに行くか?」
「あ、はい!でも、クリスさんお体は…」
「俺はもう大丈夫だ、行こう。」

2人でトレーニングルームに向かうとそこにはマーセに出場するたくさんのペアが揃っていた。
ジル・レベッカペア、レオン・ルイスペア、ジョッシュ・シェバペア…その他大勢のペアがそれぞれの方法で本番に臨もうとトレーニングしていた。俺と花子も適当な場所を探して作戦会議を始める。

「まず、それぞれのスタート位置に選手を挟む形で2体配置されている。こいつらは無視してこことここに設置されてるタイム延長ボタンを押してくれ。」
「はい。」

マップを見ながら2人で案を出し合う。

「俺がこちらから回って合流するからありったけの敵を一ヶ所に集めてから破壊しよう。」
「分かりました。…物資は落ちているんですか?」
「ああ、一定時間経つと物資ポイントに補充される。」

初期装備はくじ引きで決まる。ちなみに去年レオンと組んだときは俺がグレネードランチャーとスタンロッド、レオンがロケットランチャー(2本)と酷い組み合わせだったので今年はマシなものが来ることを祈る。

ああ、衣装もくじ引きで決まるんだった…何故か妙な衣装まで着るのがマーセナリーズの恒例である。
どうか変なのが当たらないように…そう願いながら花子と一緒に体術の練習をする。

『マーセナリーズに参加する出場者は全員訓練フィールドに集合してください。』

ハニガンのアナウンスが入って、みんなゾロゾロと外に出て行く。

「いっちょ暴れてやるか、相棒?」
「はい!」

コツン、と拳をつきあわせて笑い合った。



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