Chris | ナノ




『3分後に決勝戦を行います。出場者のミスター・レッドフィールド、キャプテン・ウェスカーはリングに上がってください。』
「行ってこいよ、クリス。」
「ああ。」

今年こそあの鬼隊長の鼻を明かしてやれ!ジョッシュに背中を叩かれて俺はリングへと歩を進める。ふと前を見ればウェスカーも丁度用意が整ったらしくリングに上がってきた。サングラスの奥にある目と目が合った途端嫌な汗が滲み出た。
毎年決勝に出場しては優勝することが出来ない。決勝戦の相手が俺の所属する部隊で最強だと言われるウェスカー隊長だからだ。

「今年は楽しませてくれよ?クリス。」
「…努力するよ。」
「俺に勝てなかったら、何か罰を付けようか。」
「…なんだと。」

俺にだけに聞こえる声で精神的に揺さぶりをかけてくる。つくづくこの人は嫌な人だと思う。罰って何だ罰って。

「そうだな…」
『Fight!』
「試合が始まったぞ、隊長、っと!」

口を開いた瞬間に猛烈な速さで横に凪ぐように繰り出された蹴り。…いきなり顔面狙いか!
屈んでなんとか回避したが、第二撃がまたもや顔面に迫っていた。なんとか交わしながら軸足を払う。
一瞬よろめいた隙に渾身の力でアッパーを叩き込もうとした、が既にそこにウェスカーの姿はない。後ろに居ると気付いた瞬間には顔面に平手が入っていた。

「ぐっ、」
「ふん、去年よりはよく動けているがまだまだ駄目だな、クリス?」
「…」

呼吸を整えて、なるべく距離をとるようにしながら奴の出方を伺う。
…さっきアッパーを叩き込もうとしたとき確かに俺の前に居た筈だ。瞬間移動したとしか思えない。やはり隊長は超人なのか…いやそんな筈はないだろう俺と同じ人間だ。

「クリス?」

黙ってその顔面にストレートを繰り出す。案の定かわされたが今ウェスカーはおそらく俺のパンチを止めるのに精一杯だろう。
…俺だって蹴り技の1つや2つ決められるさ。不意を突いて俺が放った蹴りは彼の腹部に吸い込まれた。ウェスカーも流石に堪えているようだ。
審判をしていたルイスがウェスカーにギブアップしますか?と手を差し出したがウェスカーはそれを払いのけて俺を睨んだ。明らかに殺気を含んだそれに悪寒が走った。まずい…!ついでに後ろからエクセラの殺気も感じる。なんだってんだ!

「小細工はお互いに止めよう。殴り合いだ。」
「分かった。」




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